「感謝伝わるプレーを」 ソフトボール女子・国内最高峰リーグ挑む 松尾愛里(長崎商高-豊田自動織機)

長崎を巣立った卒業式の日、JDリーグへの意気込みを語った松尾=長崎市、長崎商高ソフトボール場

 長崎商高女子ソフトボールの前主将で捕手の松尾愛里が、今季から国内最高峰「JDリーグ」の豊田自動織機(愛知)に加入する。1日の卒業式後、地元を後にした18歳は「一つの小さなミスで勝負が変わるシビアな世界。応援してくれる人に結果だけではなくて、感謝の気持ちが伝わるプレーをする」と言葉に力を込めた。
 高校入学以降、体育教諭を志して大学進学を考えていたが、昨夏のインターハイ後に誘いを受けた。悩んだ末、決め手になったのは小学3年のとき、競技を始めるきっかけをくれた祖父の存在。高校2年生だった2021年12月に事故で他界した「おじいちゃんが喜ぶかなと考えて」。トップの世界へ飛び込む覚悟を決めた。
 諫早中出身。高校ではコロナ禍で中止になった1年時の県高総体の代替大会からマスクをかぶった。2年生に上がる前の春の全国選抜大会でチーム過去最高の3位に輝き、その夏のインターハイで初優勝(4校同時)。昨季は春の全国切符を逃した悔しさを胸に、夏のインターハイで3位入賞した。
 「中学までは短気で感情が表に出るタイプだったけれど、冷静に周りを見て物事を考えられるようになった」と特に心の成長が大きかったと振り返る3年間。同じ捕手出身の溝口弘一郎監督も、そのキャプテンシーに太鼓判を押す。
 JDリーグは従来の日本リーグ1部を中心に東西計16チームが所属して昨年スタート。豊田自動織機は1952年創部と歴史があり、リーグ初年度の昨季は準優勝した。
 これから平日の午前中は事務の社業に励み、競技との両立という毎日が待っている。「親元を離れるのも初めてなので、まずは環境に慣れることから。勉強の1年にして、しっかり2年目に入りたい。夢はめっちゃ大きいけれど、オリンピックに出ること」。正式競技として復活する可能性がある2028年ロサンゼルス五輪を見据える。
 高校の制服を最後に着た卒業式。校内行事で初めてマスクを外した。退場の際、思わず涙がこぼれた。毎朝4時起きで世話をしてくれた母、試合のたびに単身赴任先の滋賀県から応援に駆けつけてくれた父、新たなステージでも「応援するよ」と言ってくれた友人たち…。たくさんの思い出と感謝を胸に、大きく羽ばたく。


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