瀬崎裕太(ChroniCloop)×コヤマヒデカズ(CIVILIAN)- ChroniCloop 初の全国流通盤『Joyous』リリース記念2マン開催直前、ボーカリスト対談を敢行!

ChroniCloopの「JOY」にコヤマがゲストボーカルとして参加

──まず今回、3月8日にChroniCloopの初となる全国流通盤『Joyous』発売に向けて、昨年11月25日から4カ月連続配信リリースという活発的な動きをされていたかと思うんですけど、そのうちの1曲「JOY」で今回ゲストボーカルとしてコヤマさんとコラボという形になったわけですが、あらためてどういった流れからコラボの実現に繋がったのかをお聞かせいただけますか。

瀬崎:遡ると、僕が中学生の頃コヤマさん、というかナノウというボカロPとしての出会いから始まるんですけど。その頃からずっと聴いてて、調べたらバンドをやってると出てきて、「あ、バンドもやってるんだ」ってなって。その後、高校生になってずっと聴いてる中でライブを見に行こうと思って、これコヤマさんが覚えてるかわからないんだけど、新宿Marbleの周年イベントか何かで、その当時Lyu:Lyuは「潔癖不感症」っていう曲を出したばっかで。そのライブで初めて本人に会うんだけど、自分の中で衝撃的だったのが、物販に行って俺が「ナノウさん」って呼んだときに振り返った人がいて、それがコヤマさんで、自分の中でずっと好きだった「ナノウさん」がそこにいて、「ナノウさん」って呼んで振り返る人はこの人しかいないんだよなっていうのが衝撃的で。

コヤマ:あははは。

瀬崎:その後に、タワーレコードで1日店員みたいなイベントをやってたの、「潔癖不感症」のときに。それにも行ってサインもらって。で、そこからちょっと空くんだけど、俺たちがサンプラザの地下にあるスタジオでレコーディングとか当時してたんだけど、そしたらLyu:Lyuもここでしてるよって話になって、「そうなんだ」ってのが一個あって、自分の中でこう繋がったところがあったんだけど。その頃、Lyu:Lyuの最後のほうだったと思うんですよね。で、Lyu:LyuがCIVILIANになって、自分たちがたまたまツアーで水戸SONICでライブだったときに、調べたらCIVILIANが水戸ライトハウスでライブやってて、「うわ、隣にいるじゃん!」てなって(笑)。その前に弾き語りもお願いして一緒にやらせてもらったことがあったのでTwitterは相互フォローになってたんだけど、CD渡しに会いに行きたいなと思ってダメもとでDMしたらコヤマさんから返事が来て、渡しに行ってLINEも交換することになって、というのでそこからいっぱい連絡取るようになって、ライブ見に行ったり飲みに行ったり、今に繋がってる感じですね。

──コヤマさんはそのDMが来たときどういう心境でしたか?(笑)

コヤマ:単純にその、自分たちもライブがある中でわざわざDMを送ってくれてっていうこと自体が単純にありがたいなと思ったのと、自分が音楽を始めてから、あんまりこうバンドとしてもホームと呼べるライブハウスがなかったり、直接のバンドの先輩とか後輩がそんなにいない状態でずっと活動していて、根無草なバンドだなとずっと思っていたので、そうやって自分たちの曲だったり、ナノウとして作っている曲に影響されたり「好き」って言ってくれるアーティストとかがいつの間にか生まれてたということが単純に嬉しかったので。なのでDMが来たときもシンプルに嬉しかったという感じでした。

瀬崎:嬉しいな。しかもその、ライトハウスの楽屋に行ったときに、コヤマさんスプラトゥーンやってて。

一同:(笑)

瀬崎:自分もゲームめっちゃやるから、それもなんか「あ、ゲームやってる!」みたいな感じでザワザワして(笑)。

コヤマ:あははは!

ChroniCloop

──そんな出会いから交流が始まり、結構ご連絡は取り合っているって聞きましたが、第一印象と比べお互いに今はどんな関係性、どんな仲なんですか?

瀬崎:僕はもう変わらないというか、本当にずっと夢みたいというか。画面越しにずっと見ていた追いかけてた人だったから、一緒にやるとかこう対談があるとかっていうのはもう本当に昔の自分に自慢できるような感じだし。普通に連絡も取るけど、気持ちはあんま変わってないかなっていう。

──コヤマさんは逆にどうでしょう?

コヤマ:僕も初めてDMをもらって会ったときから印象はずっと変わってないというか、なんていうのかな、相変わらず自分のバンドをチェックしてくれてたりとかっていうのもすごく嬉しいですし、今回こうやってお話いただけたりしたのも、もともと自分がやってる音楽に対する好きな気持ちがあったからこそ多分お話をもらえたんだろうなというのもあるので。もちろん人間としてというか友達として飲みに行ったりというのはありますけど、それと同時にミュージシャンとしても、変わらず好きだなって思ってもらえるような音楽をこれからもやっていきたいなって思えるような感じですね、僕にとっては。

──素敵な関係性ですね。

瀬崎:こういう話をするの、新鮮な感じですね。

コヤマ:あははは。

瀬崎の青春が詰まったコヤマの歌声

──ミュージシャン同士としてずっと繋がってきたからこその、この良きタイミングで私も会わせていただいて、ありがとうございます(笑)。

コヤマ:いやいや。

──お互いの人としてや歌い手、書き手としての魅力、同業者同士としてのお互いの魅力って何だと思いますか?

瀬崎:コヤマさんは声がいいんですよ、唯一無二というか。俺は学生時代に聴きすぎて、自分の声のイメージが「コヤマさんみたいに歌いたい」みたいな、ああいう声で歌いたいという憧れがすごいあって。好きっていうのもあるし、羨ましいみたいな、そう思うくらいの声で。弾き語りのアルバムとかも聴き漁ってるんだけど、今聴いても「あぁ、この人の声がいいんだよなぁ」みたいな、グッとくる。それがコヤマさんの魅力。曲もそうだし、でも曲だけじゃなくて、コヤマさんが歌ってるからいいみたいな、そういうのをすごくいつも感じて聴いてます。

──なるほど。コヤマさんは逆に瀬崎君の魅力的なところはどうですか?

コヤマ:曲を作っている、音楽をやっている人間として、そのときそのときで「今これがやりたい」っていうものを素直にやってるなという印象があって。個人的には、そういう自分の時期とか心境によってアウトプットするものが変わっていく人のほうが僕は好きなので、自分の好みだったりハマってるものだったりというのを素直に出してるなという、すごくいい印象を持ってますね。

──お互いのお話を聞いていると、(それぞれの楽曲の)聴き方や見方も変わる気がしますね。ありがとうございます。そんなお二人が今回コラボということで、「JOY」という曲を瀬崎君がつくって、その曲をコヤマさんと(一緒にやりたい)っていう流れで間違ってないですか?

瀬崎:はい。

──コヤマさんが「JOY」という曲を受け取って、感じたこととかはありますか?

コヤマ:あぁ〜そうですね、こうやって歌詞もメロディもすべて用意してもらった状態で、ゲストとして歌を歌わせてもらう経験って自分の活動の中では本当に数えるくらいしかないので。なので、人が作った歌を歌うことの楽しさと難しさみたいなものを受け取ったときに同時に感じたというか。自分にはない発想のメロディだったり歌詞の言葉選びだったりというのを、自分が歌うときにどうやってそれを消化していこうかなっていうのを考えるのが楽しくもあり、結構難しいところもあったなぁという感じですね。単純に曲自体はすごくかっこよくて、聴いた瞬間に「あ、これは面白そうだな」って思いました。

瀬崎:嬉しい! すごい嬉しい。

「JOY feat.コヤマヒデカズ(CIVILIAN)」レコーディング時のショット

──今回面白いなと思ったのが、「一緒に作った」ではなくてゲストボーカルとしてコヤマさんが参加されてるということで、(既に)ある作品を一緒に色付けていくという工程が斬新で、ある曲がコヤマさんの色になって、でも瀬崎君の色でっていうのが、すごくいい調和感があって素敵な作品だなと私は思うんですけど。実際に歌録りの段階で、それぞれが持ち合わせたイメージを重ねるとなったときに、印象的だった出来事はあったりしますか?

瀬崎:僕はもう完全に、まずそもそも自分がつくったメロディをコヤマさんが歌ってるっていうのがめちゃくちゃ震えた、当日(笑)。コヤマさんの声が鳴るっていうイメージはもちろん作ってる段階であったんだけど、やっぱりどうなるんだろうっていうのがすごいあって。だし、依頼の仕方も敢えて「歌い方が変わってもいいかな」というのを自分がすごく思ってたというか、コヤマさんがいるっていうだけで自分の中では大きいことだったし、むしろコヤマさんらしさが出るなら尚更いいなってすごく思ってたので。だからレコーディングの現場では、現場でも言ったんだけど、自分の青春が詰まった声というか、今まで聴いてきて自分が好きだなって思うところがいっぱい詰め込まれてるような気がして、忘れられないような日になったなぁって今でも思う、衝撃的でした。

──コヤマさんはどうでした?

コヤマ:そうですね、うまく歌えるかな〜と思いながら現場に行って(笑)。もちろん練習とかはしてどういうふうに歌おうかっていうのはなんとなくは考えていたんですけど。実際その場に立って一回自分の思う通りにやってみようと思って、で違ってたら違うって言ってくれるだろうし、とりあえず思うようにやってみようと思ってやりましたね。

待望の2マンはみんなの「好き」が集まった日になれば

──私はバンドマンや作り手として活動をしたことがないので、第三者的な目線から、今回ずっと憧れていた人とお仕事ができるっていう感動を想像することしかできないんですけど。CIVILIANとChroniCloopが交わりそうで交わってこなかったのが意外で、このタイミングでひとつの作品をきっかけに交わることが、やっぱり続けてきた同士だからこそで夢があるなとめちゃくちゃ思っていて。

コヤマ・瀬崎:うんうん。

──面白いのが、私の個人的な思いなんですけど、2バンドとも「夢とか希望とか追いかけていこうぜ」みたいな(笑)そういうバンドじゃないイメージがあるので、そういったバンドが今回のコラボを通じて夢や目標を与えるということのメッセージ性って、ダイレクトに日頃からそういうことを伝えてるバンドよりも、姿で見せるという説得力がすごくあるなと感じているんですけど。続けてきたからこそ出会いがあって、ひとつの作品になってっていう。きっと受け取り手もそういうふうに感じてる方もたくさんいるんじゃないかなと思いますね。

コヤマ・瀬崎:うんうんうん。

──音楽を続けてきて良かったなと思うきっかけになりましたか?

瀬崎:いや、僕は本当間違いなくなったかなって。中学生の頃から聴いてるんで。何度も言うけど夢みたいな出来事だし、忘れないかなっていう。作って良かったなっていう気持ち、頑張ってきて良かったなっていう気持ちですね(笑)。励みになりました、今回の出来事は。

──コヤマさんも、ずっと背中を追ってくれるそんな存在が、今回ある意味横に並んだみたいな瞬間だと思うんですが、それってどんな感覚ですか?

コヤマ:いやでも単純に、シンプルに嬉しいなと思いますね。最初のほうにもちょっと言いましたけど、音楽を始めてバンド活動を始めたときから、本当に自分の人生を何とかしたくて歌ってるだけの人間だったので、それが誰に届いてどこに影響してなんてのは自分では全然考えずにやってきたというか。ひたすら自分を何とかしたくて歌ってただけだったのが、いつの間にか自分の知らないところで知らない人たちに届いていて。で、こうやって続けてきたからこそ今回一緒に歌うっていう場面ができたわけで。それは自分にとってももちろん続けてて良かったなって思いましたし、ひたすら自分のための歌しか歌ってなかった、自分の魂を救うための音楽だったはずがいつの間にか自分じゃない誰かのためになってたんだなっていうのを実感できるって、自分にとってはこれ以上ない報われる気持ちというかそういうのがあるので。感慨深い気持ちがありますね。

──なんか、すごくいいですね。

一同:(笑)

CIVILIAN

──本当にお二人が続けてきて下さったおかげで私もそういう瞬間に立ち会えるので光栄です。3月12日(のChroniCloopとCIVILIANの2マンライブ)も。

瀬崎:確かに。

──3月12日までもう1週間切ってるんですけど、初対バンであり初2マンであり、それぞれのお客さんにとっても新鮮で感じたことのない1日になると思うんですけど、ぜひ最後に意気込みをいただいてもいいでしょうか。

瀬崎:そうですね、僕らがゲストという形でCIVILIANを呼んだんですけど、今回これ(3月12日のイベント)をやってCIVILIANのファンの人たちが来たときに、「俺もそのひとりなんだよ」みたいな(笑)、それが伝わったらいいなと思ってる部分があって。僕もコヤマさんが作った曲を聴いて育ってCIVILIANが好きで、だから正直2マンで当日現場に行ってっていう自分が想像つかない、どういう自分なんだろうなっていう。やっぱちょっと感覚的に今までと違うんですよね、特別感があって。みんなの「好き」が集まった日になったらいいなと思ってるんで、そういう意味でも個人的には気合いの入れ方もちょっと違うんですよね、いつものライブと。特別な日にしたいなという気持ちでいます。

──コヤマさんはどうでしょう?

コヤマ:そうですね、単純に楽しみだなっていう気持ちがあるのと、ライブ自体はこう、どこであろうと誰と一緒であろうと自分の持てる力を出すだけなので、いつも通り全力でやるんですけど。でもその当日の空気感、お客さんの様子だったりっていうのがすごく楽しみだなと。ChroniCloopのお客さんたちに対して自分たちのライブはどう映るんだろうなとか、自分たちのお客さんがChroniCloopのライブをどう思ってくれるんだろうなとかっていうのは、すごく楽しみにしてますね。きっとお互いにいいと思ってくれるだろうなっていうワクワクがあります。

──めちゃくちゃ楽しみですね! 何が起きるか、想像を絶対超える1日になると思うので、私も現場でお客さんとして楽しませていただきます。

コヤマ:ありがとうございます!

瀬崎:はい、頑張ります!

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