重責や長時間労働、家庭との両立… 小学校長の女性割合『長崎県45位』 リーダー養成へ研修充実

小中高校の女性管理職の占める割合が低迷している本県。さまざまな要因が複雑に絡み合っている(写真はイメージ)

 8日に公表された今年の「都道府県版ジェンダー・ギャップ指数」で、本県は教育分野が昨年の39位から27位となった。4年制大学進学率の男女差が上位だった一方、子どもたちのジェンダー意識に影響の大きい学校現場の女性登用は低調のままとなっている。

 □要因 複合的
 同指数の関連資料を見ると、女性校長の割合は小学校10.6%(指数順位45位)、中学校7.2%(同30位)、高校6.4%(同35位)。小中高校の副校長・教頭は11.9%(同45位)。小学校校長の男女比で全国1位だった石川県は男性よりも女性校長が多く、本県と大きな差がある。
 女性の管理職が少ない現状について、県教委は「要因は複合的」とする。もともと「“現場”にいて、子どもと直接触れ合っていたい」という思いが強い教員が多い上、管理職の責任の重さや長時間労働、離島勤務へのためらいなど多くの原因が絡み合っているという。県内の公立学校で働く40代女性教員は「学校の管理職は朝が早く帰りも遅い。女性の管理職は心強い存在で増えてほしいが、子育てや介護をしていたら現実的に難しそう」と話す。
 近年の女性活躍推進の機運の高まりを受け、県教委は女性管理職を増やす取り組みを進めている。
 義務教育課は昨年度、県内の教職員を対象に女性管理職が少ない理由などを尋ねるアンケートを実施。本年度は各地区で教職員を集めて女性活躍について話し合う懇談会も開いた。高校教育課は2016年度から学校経営やキャリア開発などの研修会を開催。担当者は「まずは全ての男女が余裕を持って働けるようになることが必要。働き方改革を各校で進め、ミドルリーダーや管理職を目指す人が出てくる土壌をつくりたい」と言う。

 □施錠を分担
 教員の働き方については、教頭の長時間労働の要因となってきた学校の鍵の開け閉めを他の職員と分担したり、土日に模試がある場合に監督を務める教員がどちらか1日は休めるようにしたりと、工夫している学校もある。ある教頭は「今勤務している学校では教頭が鍵の開け閉めをするが、残業をする人がいるときは鍵を託して帰っている。会議を効率化したりして学校全体でも残業が減り、教員の笑顔が増えた」と話す。
 管理職を経験した県内の元女性教員らが後輩の教員を支援する取り組みも。退職・現職の女性管理職らでつくる「なみぢ会」は、地区ごとに女性教員のレベルアップを図る研修会を19年から開いている。内容は学級経営のノウハウから不登校対応、学校現場の判例などで、女性教員の交流の場にもなっている。


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