無投票の可能性浮上 諫早市区(定数4)<県議選2023 直前情勢③>

 現職4人と共産新人が争うとみられたが、直前になって自民のベテランが新人と“交代”。さらに共産が擁立を断念し、無投票の可能性が浮上した。
 「皆さんと連携し、郷土発展のため(選挙戦を)支えていきたい」。2月23日、長崎県諫早市内であった無所属新人、山村健志の事務所開き。自民現職の八江利春が激励のマイクを握った。
 急転直下だった。10期目に意欲を燃やしていた八江だったが、高齢などを理由に1月、不出馬を決断。白羽の矢が立ったのが、三つどもえの激戦となった2年前の市長選で無名の新人ながら善戦した元国土交通省職員の山村だった。
 同19日、八江から意志を確認された山村は腹をくくり「やらせてください」と返答。その場で入党届を手渡す慌ただしさだった。
 自民は山村を推薦。千住良治、坂口慎一の現職2人と合わせて「上位3議席独占を狙う」(八江)が、党関係者は「山村の政治力は未知数。自民支持層になじみもない。有権者にどこまでアピールできるかが鍵だ」とみる。
 同30日、市内のホテル。自民勢の結束の必要性を唱える八江は千住、坂口、山村に「(古里、県政のため)仲良くやっていこう」と言葉をかけ、必勝を期して4人で乾杯した。「全員を当選させるのが私の最大の責務」と八江。2年前の補選で当選し、初の本選に挑む現職2陣営からは「想定から顔触れが変わり票が読みづらい」との一方、「八江の地盤に入り込みやすくなった」との声も聞かれる。
 読みづらさを口にするのは、通算4期目に挑む国民民主の山口初實も同じ。「補選や市長選で(千住、坂口、山村の)3人の誰かに投票した私の支持者も多く、票を取られかねない」と表情を引き締める。無投票の可能性も出てきたが、「選挙戦になるという前提で準備を進めていく。一つでも上の順位での当選を目指し“野党”の存在感を示す」と語気を強め、態勢固めに懸命だ。
 共産は公認の新人が健康上の理由で不出馬となり、今月4日の会議で擁立見送りを決めた。
    =文中敬称略=

◎立候補予定者

▼諫早市区
坂口 慎一 43 自現(1)
千住 良治 50 自現(1)
山口 初實 75 国現(3)
山村 健志 49 無新

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