同性婚テーマに長崎大でセミナー 台湾を参考に法制化巡り発表

台湾の同性婚法制化について発表する河村ゼミ生=長崎市文教町、長崎大

 台湾を参考に同性婚について考えるセミナーがこのほど、長崎大でオンラインも併用して開かれ、多文化社会学部の河村有教准教授(刑事法)のゼミ生5人が発表した。
 世界では現在33カ国で同性婚が法制化され、先進7カ国(G7)で日本のみが法制化されていない現状を踏まえ、ジェンダーと人権、法の関係性について関心のある2年生5人が報告し見解を述べた。
 台湾では2019年、アジアで初めて同性婚を法制化。04年にジェンダー平等教育法が制定され、16年には同性婚に肯定的な民主進歩党への政権交代を経て、19年に同性婚法が成立した。ゼミ生は法制化に伴い、同性婚へ肯定的な民意も増加したと分析。日本と比較して「岸田政権の人権に対する意識の乏しさを感じた」と課題を指摘した。
 同性パートナーへの法的保障をめぐり、日本では同性婚の可否に関する訴訟が起きている。札幌地裁は21年3月、「法の下の平等に反する」と違憲判断を示し、ゼミ生は「憲法を変えずとも法整備をすれば、同性婚は日本において実現可能」と述べた。
 ゼミ生の伊東瑠菜さん(21)は発表後「日本では同性婚について、台湾のように自分の意見を発する人が少ないように思える。もっと多様な意見を言い合える環境が必要」と話した。

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