『被爆前の日常』写真で紹介 レクナがHP公開 証言合わせた教材も

ホームページについて説明する林田特任研究員=長崎市文教町、長崎大核兵器廃絶研究センター

 長崎大核兵器廃絶研究センター(RECNA=レクナ)は、被爆者や遺族から収集した被爆前の写真や、それを活用した教材などを集約したホームページ(HP)「被爆前の日常アーカイブ」を制作し、7日公開した。
 レクナは、国立長崎原爆死没者追悼平和祈念館(長崎市)から「被爆の実相の伝承のオンライン化・デジタル化事業」(2021~23年度)を受託。これまでに県内外22人から6千枚を超える写真を収集した。
 HPは、原爆が奪った被爆前の人々の暮らしに焦点を当て、新たな視点で核兵器の非人道性を訴えるのが目的。収集した写真と証言を組み合わせたスライド教材や写真を基に作成した動画、被爆前後の8月7日と9月7日に撮影された被爆地の航空写真をつなぎ合わせたデジタルマップを掲載している。
 一部の写真と教材はダウンロード可能。教材は大学生向けだが、言葉遣いを平易にすれば小中高生にも使うことができる。教材を使った大学生への授業などでは「今がもしかしたら『戦前』や『被爆前』かもしれないという危機感をもった」などの感想が聞かれたという。
 中心となって制作したレクナの林田光弘特任研究員(30)は「被爆前の日常の写真は、原爆が人間に対し落とされたのだと改めて感じさせる貴重な資料。今回公開した資料や教材が、学校現場で被爆前の日常について考えるきっかけになれば」と話した。今後、海外の教育現場でも使えるようにする予定。

© 株式会社長崎新聞社