クリスマスに足指骨折 ささきしょうこは恩返しVなるか

5年ぶりのツアー4勝目へ2打差を追う(撮影/大澤進二)

◇国内女子◇明治安田生命レディス ヨコハマタイヤ 3日目(11日)◇土佐CC(高知)◇6228yd(パー72)

折り返しの10番(パー5)、ささきしょうこに最大のピンチが訪れた。左ラフからのセカンドを右サイドのがけ下に落とした。土手の向こう、130ydほど先にあるグリーンまでには、10ydほど右前方にそびえる木も邪魔になる状況だった。

上を狙っていくこともできたが、「確実にパーを獲れる方を…」と手短に思考をまとめた。左手前のラフに外してもアプローチを寄せやすいとの判断から、6Iで木の下を抜いていくルートを選択。低く抑えたカットフェードを打つ上で、土手の高さがちょうどいい“目安”にもなったという。うまく打てた手応えはあったものの、手前6mのチャンスにつくことまでは、さすがに期待していなかった。「まさかこんなにいいところに…」。驚きながらも好機を逃さず、バーディで同じ最終組の吉本ひかるに食らいついた。

首位と2打差の通算14アンダー2位と5年ぶりの4勝目へ好位置。年明けには想像できなかった。昨年12月、クリスマスの時期に左足の中指を骨折。2、3週間は歩くこともままならず、折れた骨がくっついても、まずは“普通”に歩けるようになることから始めなければいけなかった。

2月の合宿に入るまではクラブもほとんど握れなかったため、開幕に間に合うかどうかを心配していたほど。「冬の体が動かない時期で無理をして(さらに)けがもしなかった。ゴルフから離れることで、ある意味、思い詰めすぎなかったのも良かったのかな」。ポジティブに捉えられるのも前週の開幕戦5位、そして今大会の優勝争いと立て続けに結果が出ているからこそでもある。

東日本大震災から12年となり、パッティンググリーンに半旗が掲げられた(大会提供)

12年前の3月11日、東日本大震災が発生したときはアマチュアとしてこの大会に出場していた。「上がってきて、みんなでテレビを見ながら、大変なことになっているという情報が徐々に出てきて、ここにも津波が来る可能性があるということでゴルフ場の外にも出られず、すごく怖かったことを覚えています。少し時間は経ちましたけど、試合に来て、3月11日になると、改めてそのときのことを思い出します」と脳裏に焼き付いた記憶が消えることはない。

中学生のときに当地で行われたアマチュアチャレンジに出場した縁から、オフはこのコースで合宿を張るのが恒例。今年2月も2週間ほど練習で使わせてもらった。「ここに来ると『おかえり』と迎え入れてくれる方がたくさんいる。応援もしていただいているので、結果で恩返しできれば」。さまざまな思いが詰まった場所で、勝ちたい気持ちは人一倍だ。(高知県香南市/亀山泰宏)

昨年12月に左足の中指を骨折して何とか開幕に間に合わせた(撮影/大澤進二)

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