センバツ18日開幕 <県勢史上初 2校同時出場> 長崎日大・投打で進化証明/海星・46年ぶり夏春連続

走攻守そろってチームを引っ張る長崎日大の平尾=諫早市、長崎日大学園野球場(写真左)、冬場のトレーニングで一回りも二回りも成長した海星の左のエース吉田=長崎市、海星高三和グラウンド

 第95回記念選抜高校野球大会は18日、兵庫県西宮市の甲子園球場で開幕する。長崎県からは昨秋の九州大会準優勝の長崎日大と4強の海星が県勢史上初めて2校同時に出場。2年連続4度目の長崎日大は第4日の2回戦第2試合(21日11時30分)で龍谷大平安(京都)と、7年ぶり6度目の海星は第3日の2回戦第1試合(20日9時)で社(兵庫)と対戦する。両校ともに冬場の厳しいトレーニングで一回りも二回りも成長。対外試合解禁後の実戦でも成果が表れている。今回はマスク着用の上で2019年夏以来、約3年半ぶりに声出し応援も復活。憧れの甲子園で活躍を誓う選手たちの横顔を紹介する。

■長崎日大・最多出場の名門撃破へ/21日第2試合 龍谷大平安(京都)

 冬場の対外試合禁止期間(12月~3月3日)が明けて初の週末となった4、5日。長崎日大は神村学園(鹿児島)や筑陽学園(福岡)など実力校との練習試合で4戦4勝と甲子園へ好発進した。投手陣の球質は昨秋より明らかに上がり、野手陣はこの春チーム第1号をたたき込んだ3番豊田をはじめ、平尾、平岩で3本塁打を記録。一様に力強さが増していた。

長崎日大 平山監督のチーム分析

 昨秋の公式戦もチーム打率3割4分8厘、防御率1.95と攻守のバランスが取れていた中、全体的な底上げに成功した。新チーム発足から重視してきた実戦練習を冬場も継続し、主将の平尾は「暖かくなってきた分、プレーがやりやすくなった。やっと来たなという感じ」と手応えを強調。「特に守備はノックでも目立ったエラーがなくなってきた」と胸を張る。
 ウエートトレーニングでは各部位の太さを定期的に測定。投手陣の一翼を担う西尾は昨秋に比べて太もも回りが4、5センチ大きくなり、課題だった変化球の制球力がついてきた。その後輩の西尾からエースナンバーを奪い取ったのは廣田。直球に伸びが出て、ストライクの球でしっかりと勝負できるようになってきた。本番はそこにボール球を有効に織り交ぜていく。
 リードする捕手豊田、二遊間の栗山と下坂、中堅平尾のセンターラインを軸に、まずは守備からリズムをつかんで攻撃につなげたい。一、三塁手の加藤と平岩は左の長距離砲で勝負強い一本に期待。左翼、右翼手の坂本と松本も昨秋、それぞれ打率4割超と気を吐いた好打者だ。レギュラーに肉薄する控え選手もそろっており、一丸で進化を証明する春にする。
 23年ぶりに挑んだ昨春は1回戦で近江(滋賀)に延長タイブレークの末に惜敗。「出るだけじゃなく勝つこと」を明確に目指してきたチームにとって、歴代最多出場の龍谷大平安はこの上ない相手となる。攻守で存在感を示す豊田は「攻撃は浮いた球を一球で仕留め、守備は甲子園だからといって浮足立たない。しつこく、粘り強く戦う」と一歩も引かない構えだ。

■海星・先輩超え「3勝以上」を/20日第1試合 社(兵庫)

 県大会から相次ぐ接戦を制して46年ぶりの“夏春連続”出場を決めた海星。昨秋の得点力は今回の出場36校中で最下位だったが、それは昨夏の甲子園16強で新チーム始動が遅れた数カ月前の数字に過ぎない。そこから質の高い鍛錬を重ね、今季も全国上位を狙える力をつけてきた選手たち。先輩を超える「3勝以上」を目標に掲げている。

海星 加藤監督のチーム分析

 冬場の成長を象徴するのは吉田と髙野の投手の左右二枚看板。昨季は1学年上に絶対的なダブルエースがいて影を潜め、秋も防御率2点前後と特別な成績ではなかった。ただ、それぞれ約4キロ体重を増やして投げ込む現在のボールは、捕手田川に「めちゃくちゃ変わった」と言わしめる。
 技巧派の印象だった吉田は加藤監督が「本格派になりつつある」と評価し、自らも「直球で打者の振り遅れを感じる」と実感。以前と全く異なるボールになった変化球もある。髙野も配球パターンが増え、今月5日の神村学園(鹿児島)との練習試合は先発で4回8奪三振の快投を披露した。
 バックは昨秋から背番号が複数入れ替わった。内野陣では三塁だった田中を二塁、二塁だった峯を遊撃へコンバート。2人が堅守の中心になる。外野陣を含めて他は番号通りの起用にならない可能性があるほど、今も激しい部内競争が続く。
 打線は歴代同様の力強さを培ってきた上に、今季は機動力が特長。トレーニングも実際の走塁で活用できる苦しいメニューに取り組んできた。カギを握るのは抜群の足を誇る1番田中の出塁。昨夏の甲子園でスタメンだった田川と平尾は昨秋こそ下位打順に甘んじたが、しっかりクリーンアップに上がってきた。 春の甲子園は8強入りした2016年以来。7年前と同じく初戦の相手は開催地の兵庫代表で、完全アウェーの厳しい戦いも予想される。主将の田川は「チームとしては間違いなくレベルアップしている。あとはやってきたことを信じて出す。後輩たちが気負わなくていいように、自分たちが引っ張っていく」と言葉に力を込める。


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