3月24日夜に珍しい「金星食」…見え方は 観測できる地域や方角も解説

写真を拡大 九州南部で金星食が見られる範囲

 2023年3月の夜空には金星や木星、火星が輝く。そんな中、注目は3月24日に予想されている金星の前を月が横切り、金星を隠す珍しい現象「金星食」。九州の一部地域から沖縄の地域で観測できそうだ。見える時間帯や方角、観測ポイントなどを国立天文台に聞いた。

金星食とは

 星食とは、月が手前を通ることで星を隠す現象。地球の周りを公転している月は、地球から見ると天球上を刻々と西から東へ移動する。このとき移動していく月が背後にある天体の前を通過し、隠すことがある。これを「食」」または「掩蔽(えんぺい)」という。

 月と金星は約1カ月ごとに繰り返し近づいて見られるが、地上から見る月の通り道と金星の通り道がずれているため、金星食はなかなか起こらない。また起こる場合も観察できる地域が限られるため、珍しい現象と言える。

観測できる日時

 3月24日午後9時前後から九州の南西部から南西諸島にかけての地域(鹿児島県、宮崎県、熊本県、長崎県、沖縄県)で、月が沈む直前に金星食が起こり、月の暗い輪郭に金星が隠れていく様子が見られそうだ。金星がすっぽりと月に隠れるところもあれば、金星の一部だけが月に隠れるところもある。ほとんどの地域では金星が月から再び出現する前に月は地平線に沈むが、五島列島の一部地域では金星が出現するまでの全経過が見られるという。残念ながら福井県からは見ることができない。

 那覇市の場合、金星が隠れるのは同日午後8時56分ごろ。望遠鏡を使うと、金星が月にじわじわと隠されていく様子を観察することができる。そのまま月の高度が下がり、午後9時22分ごろに、金星が月に隠れたまま沈む。

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九州南部で金星食が見られる範囲

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