「死にたい」と子に言われた親、最初に伝えるべきこと 叱責は逆効果も 最後に「ありがとう」と伝える意味

「自殺予防の第一歩は絆。誰かとつながることが大切」と話す大久保教諭=上尾市立東小学校

 埼玉県上尾市立東小学校(石塚昌夫校長)で、学校保健委員会「誰かに頼る『心のケア』~相談機関の活用~」が行われ、自殺予防や非行防止相談などについて教職員や保護者ら約20人が学んだ。

 同校では高学年を対象に、児童の自殺予防教育として「SOSの出し方」を実施している。委員会では大久保裕和教諭が「わが子がSOSを出したときに」と題して、文科省の資料などを基に説明。「小学生の自殺動機は家庭問題が最も多い。親子関係の不和や親からのしつけ、叱責(しっせき)などで孤立感を感じてしまうことが原因」と分析結果を紹介した。

 大久保教諭は「キーワードは孤立。もしわが子に死にたいと言われたら、まず親が冷静になって心配していることを伝え、気持ちを尋ねる。うなずきながら話を聴き、最後には『話してくれてありがとう』『いつも見てるよ』と寄り添う言葉がけを」と話した。

 また「親も誰かとつながることが大切。専門機関に相談することも必要」との観点から、さいたま少年鑑別所の専門官千野沙知子さんと古沢友里乃さんの2人が、支援方法や相談システムなどについて説明した。鑑別所では、まず電話で概要を聞き、相談を受けるかどうかの判断と対応できる日にちや担当者を決め、その後面接をする。親と子が別々に話をし、最後に親子で共有するという。

 専門官の2人は「子どもには子どもの、親には親の悩みがある。相談することで、親に少し余裕ができ、困り事が整理できる」などと説明し、相談窓口の活用を呼びかけた。

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