専門学校卒業 ネパール人留学生「介護の仕事を頑張りたい」 コロナ禍家族と離れ勉学励む

卒業式を終え、同級生と学生時代の思い出話に花を咲かせるチェトリさん(中央)=長崎市大黒町、ホテルニュー長崎

 新型コロナウイルス禍で3年間、帰国がかなわず勉学に励んできた外国人留学生。医療や福祉を学ぶ長崎医療こども専門学校(長崎市大黒町)では17日、68人が卒業した。ネパール人のチェトリ・スベディ・ナビナさん(22)は「社会人として介護の仕事を頑張りたい」と意欲を語る。
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 ネパール南部のバンガンガ市出身。16歳で高校を卒業し、現地の幼稚園で働いた。17歳で結婚。日本に労働者を送り出すという国策もあり、日本で資格を取って働き、故郷の家族を支えようと決意した。
 2018年10月、単身で長崎に来て、日本語学校で1年半学んだ。「漢字がとにかく難しかった」。同専門学校への進学が決まり、入学前の20年3月、久し振りに家族や夫に会おうと帰国を計画した。しかし、コロナの感染拡大で断念。異国の地で未知の感染症におびえる日々が始まった。
 救いはアルバイトだった。19年4月から長崎市住吉町の介護施設で働いた。慣れない高齢者の介護に苦戦したが、利用者たちから「学校お疲れ様」「国家試験応援しているよ!」と励まされた。アルバイトが気分転換となり、利用者と家族のような関係になった。
 20年4月に介護基礎科に入学。マスク着用や消毒義務、行動制限などにストレスを感じ、人付き合いがおっくうになったことも。
 21年4月には介護福祉科に進学。実戦的な学びや実習に取り組んだ。コロナによる休校などに振り回されたが、介護福祉士試験に向けて勉学に励んだ。
 制度面で支えとなったのは県の修学資金。安心して勉強に打ち込むことができた。アルバイト先の施設利用者との会話の中で日本語力も向上した。今では長崎弁で「これでよか?」。来日から2年で日常会話レベルの日本語能力試験N2を取得した。今年は最難関であるN1合格を目指す。
 今年1月、コロナに感染し、38度を超す熱にうなされた。同国出身のクラスメートが食料を届けてくれ、人の温かみに支えられながら介護福祉士試験に向けてラストスパート。2月に受験し、「合格しているはず」と自信を見せる。
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 卒業式には学生や保護者ら約230人が参列。チェトリさんは民族衣装サリーで出席した。式では遅刻や欠席がほとんどないとして精勤賞を受けた。
 4月からはアルバイト先の介護施設で正社員として働く。「これからは長崎で自分を必要としてくれる人のために頑張りたい」。5年間帰っていないネパールへの帰国も計画している。

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