3月19日、2022年FIA F2の第2戦ジェッダの決勝レース2が、サウジアラビアのジェッダ・コーニッシュ・サーキットで開催され、メルセデス育成のフレデリック・ベスティ(プレマ・レーシング)が今季初優勝を飾った。レッドブル&ホンダ育成の岩佐歩夢(ダムス)は4位でチェッカーを受けた。
第2戦フィーチャーレース(決勝レース2)のグリッドは、17日に行われた予選結果順で決定され、最速タイムをマークしたアルピーヌ育成のビクトール・マルタンス(ARTグランプリ)がポールシッターとなった。フロントロウ2番手にフェラーリ育成のオリバー・ベアマン(プレマ・レーシング)が続いた。
予選で3番手タイムをマークしたテオ・プルシェール(ARTグランプリ)に、スプリントレース(決勝レース1)でのベアマンへの接触によりこのレースで5グリッド降格処分が下され、繰り上がりでジャック・ドゥーハン(インビクタ・ビルトゥジ・レーシング)がセカンドロウ3番グリッドを獲得。4番手からユアン・ダルバラ(MPモータースポーツ)、そして岩佐は5番グリッドからスタートを迎えた。
フォーメーションラップ直前の計測で、気温28度、路面温度48度というコンディションのもと、タイヤ交換義務を有する周回数28周の決勝レース2では、上位勢はソフトタイヤスタートとなった。
2番手スタートのベアマンがスタートで首位に浮上。マルタンス、ドゥーハンとアルピーヌカラーの2台が続く展開に。一方、5番手スタートの岩佐歩夢は6番手スタートのベスティにかわされ6番手に交代する。
そんななか、2周目のターン1で最後尾争いを展開していたブラッド・ベナビデス(PHMレーシング・バイ・チャロウズ)とアムーリ・コルデール(インビクタ・ビルトゥジ・レーシング)が接触。ベナビデスがコースサイドにマシンを止め、バーチャル・セーフティカー(VSC)が導入される。
VSC明けの3周目に抜群の蹴り出しでベアマンが1.8秒のリードを築く一方、マルタンス、ドゥーハン、ベスティは接戦。特に同じアルピーヌ育成のマルタンスに対し、ドゥーハンは果敢に攻め立てオーバーテイクの機会を伺う。
一方、5周目に岩佐は無線で「早くピットに入れたほうがいいかもしれない」とチームに伝えた。岩佐はトップ集団から0.6〜0.8秒遅れるペースとなり、先行するダルバラに2秒離され、DRS圏内の背後にプルシェールを引きつれながらの戦いに。
7周目、2番手ドゥーハン、4番手ベスティ、6番手岩佐、7番手プルシェールらがピットイン。ソフトタイヤからミディアムタイヤへ交換する。その動きに呼応し、8周目にはトップのベアマン、マルタンス、ダルバラがピットイン。
ピットアウト後、岩佐とプルシェールの間にクッシュ・マイニ(カンポス・レーシング)が入る。さらに9周目にはデニス・ハウガー(MPモータースポーツ)がプルシェールを攻略。ザウバー育成でFIA F2では強さを見せるプルシェールだが、ここジェッダでは苦戦が続く。
上位勢が軒並みピットストップを終えると、見た目上のトップには13番手からミディアムタイヤスタートのアーサー・ルクレール(ダムス)となった。“裏のトップ”争いでは、10周目のターン1でマルタンスがベアマンに仕掛けるも、コースオフ。続くコーナーでポジションを戻すことに。
ただ、マルタンスは翌11周のホームストレートでベアマンを攻略。2台がターン1で交錯する間に、チームメイトのベアマンの隙をついたベスティが2番手に浮上する。
レースはまだ前半戦にも関わらず、ベアマンのタイヤは徐々に厳しくなりつつあるのか、たまらずコースオフする場面もあり、4番手のドゥーハンがDRS圏内に近づく。
そんななか、12周目にはベスティが1分44秒894を記録しファステストを更新。マルタンスの0.6秒背後まで接近するが、マルタンスもセクター1全体ベストを更新する走りでベスティを易々とは近づけない。
ただ、ベスティも14周目に1分44秒847とふたたびファステストを更新。ジェッダ最大のオーバーテイクポイントとなるターン1を中心に、マルタンスに揺さぶりを仕掛ける。
そんななか、17周目のセクター2でベアマンが単独スピン。さらにその直後にはマルタンスがターン3で単独スピンを喫してしまい、ここでレースを終えることに。これで2度目のVSCが導入されることとなった。
この時点でルクレールを初め、5台のマシンがピット義務未消化だったが、VSC中にはピットに入ることはできず。VSCは18周目に解除された。
レース再開時点でピット義務消化組はベスティ、ドゥーハン、ダルバラ、岩佐、ベアマン、ハウガーの順に。しかし、ミディアムスタートのルクレール、リチャード・フェルシュフォー(ファン・アメルスフォールト・レーシング)らも決してペースは悪くない。
そんななか、フェルシュフォーが19周目に1分44秒644のファステストを更新。フェルシュフォーは無線で「スーパーソフトは長くは持たないから、できる限りミディアムで走りたい」とチームに伝えたが、フェルシュフォーは21周目終わりにピットイン。ポジションはピット消化組6番手のベアマンの背後となった。
フレッシュタイヤのフェルシュフォーは23周目のターン1でベアマンを攻略。その様子に呼応してか、23周目終わりにルクレールら3台がピットイン。これで全車がピット義務を消化するに至った。
ただ、ルクレールの左フロントタイヤの交換でタイムロス。ルクレールはベアマンの後方でコース復帰という状況に。これで24周終了時点で、ベスティ、ドゥーハン、ダルバラ、岩佐歩夢、ハウガー、フェルシュフォーというトップ6に。そんな中、9番手のルクレールは1分43秒994とファステストを更新し、26周目のターン1でベアマンを楽々とオーバーテイク。
4番手の岩佐は1分45秒後半とペースに伸び悩み、徐々に5番手のハウガーが接近する。ファイナルラップには岩佐の背後DRS圏内にハウガーが接近。明らかにペースが違うマシンも、岩佐はタイヤと走行ラインを絶妙にコントロールし、ポジションを決して譲らない。
28周目を終え、ベスティがトップチェッカーを受け、自身通算2勝目となる今季初優勝を飾った。2位にドゥーハン、3位にダルバラが続いた。岩佐は0.3秒差で4位を死守し、12ポイントを獲得。ただひとり今季4レースすべてでポイントを獲得した岩佐は、ポイントランキングトップのラルフ・ボシュング(カンポス・レーシング)との差を2ポイントまで縮めている。
次戦となる第3戦メルボルンは、3月31日〜4月2日に、FIA F2初開催となるオーストラリアのアルバート・パーク・サーキットで開催される。
■2023年FIA F2第2戦ジェッダ レース2正式結果
Pos. No. Driver Team Time/Gap
1 7 F.ベスティ プレマ・レーシング 50:45.587
2 14 J.ドゥーハン インビクタ・ビルトゥジ・レーシング 3.959
3 2 J.ダルバラ MPモータースポーツ 7.546
4 11 岩佐歩夢 ダムス 11.379
5 1 D.ハウガー MPモータースポーツ 11.712
6 22 R.フェルシュフォー ファン・アメルスフォールト・レーシング 14.014
7 4 E.フィッティパルディ ロダン・カーリン 14.220
8 12 A.ルクレール ダムス 17.012
9 10 I.ハジャル ハイテック・パルスエイト 21.646
10 8 O.ベアマン プレマ・レーシング 23.910
11 16 R.ニッサニー PHMレーシング・バイ・チャロウズ 28.854
12 24 K.マイニ カンポス・レーシング 29.731
13 5 T.プルシェール ARTグランプリ 31.238
14 20 R.スタネ トライデント 32.019
15 9 J.クロフォード ハイテック・パルスエイト 32.973
16 21 C.ノバラック トライデント 36.131
17 3 Z.マロニー ロダン・カーリン 37.076
18 23 J.コレア ファン・アメルスフォールト・レーシング 40.339
19 25 R.ボシュング カンポス・レーシング 47.097
20 15 A.コルデール インビクタ・ビルトゥジ・レーシング 1:31.499
6 V.マルタンス ARTグランプリ DNF
17 B.ベナビデス PHMレーシング・バイ・チャロウズ DNF
ファステストラップ:
アーサー・ルクレール(ダムス)/1分43秒647(26/28周目)214.443km/h
ペナルティ:
クッシュ・マイニ(カンポス・レーシング)/5秒のタイムペナルティ(他車をコース外に出した)
ロマン・スタネ(トライデント)/5秒のタイムペナルティ(コースアウトしてアドバンテージを得た)