ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)準決勝で劇的なサヨナラ勝ちを収めた侍ジャパン。テレビの前で手に汗を握りながら試合を応援した人も多いのでは…。準決勝が行われた舞台は、フロリダ州マイアミ。ヒスパニック系の住民も多く、スタンドは対戦相手のメキシコチームの真っ赤なユニフォームで埋め尽くされていて…。いや、ちょっと待て。
バックネット裏でひと際目立つ、赤いユニフォーム…。これ、広島カープのユニフォームじゃない?
ということで、気になった方も多いはず。「バックネット裏のカープファン」は、いったい誰なのか。
マイアミに滞在中のご本人から直接、お話を聞くことができました。
試合終了後、現地はすでに午前2時をまわっているということでしたが、興奮冷めやらない様子で取材に応じてくれたのは、広島市出身の 香月孝史 さんです。
SNSでは「バックネット裏のカープファン」として話題になりましたが、そのことに触れると、「カープ愛、広島愛、日本愛で、なにも恥ずかしくありません」と誇らしげに語ってくれました。
香月さんは、広島市で産婦人科などを経営する医療法人の理事長。ご自身も産婦人科医として出産や不妊治療の専門家です。そして、なにより大のカープファン!
栗林良吏 投手、元カープの 鈴木誠也 選手の活躍を見ようと楽しみにしていたといいますが、残念ながら2人はけがで出場かなわず…。「2人の分まで戦ってこよう」と、侍ジャパンに声援を送り続けました。
「到着するのに24時間かかりました」という香月さんが、広島からマイアミに入ったのは、日本時間の19日。半年以上前から観戦準備をしていましたが、現地に到着した後も、より良い席を探し続けた結果、友人らの助けもあって、バックネット裏という最高のチケットを手に入れることができたということです。
ちなみに渡航費用など、観戦のためにかかった費用を聞いたところ…。
「とても言えません」ということですが、「当分の間、ぜいたくできないくらい」のお値段だったということです。
苦労の末、獲得したチケットで、バックネット裏から見たスタジアムの盛り上がりは、まさに「興奮のるつぼ」…。
吉田正尚 選手のホームラン、大谷翔平 選手の2塁打、そして 村上宗隆 選手のサヨナラ・タイムリー。派手なプレーだけでなく、バントや走塁など献身的なプレーに「全員野球で世界一のチームワーク」と、日本野球の強さを見たといいます。
また、選手たちだけではなく、スタジアムのファンの姿にも感動したという香月さん。特にチーム分け隔てなく声援を送るメキシコのファンの姿に、スポーツの持つすばらしさを実感したといいます。戦いが終われば、ファン同士、互いをたたえ合ったということで、「スポーツは世界を平和にする」と感じたそうです。
香月さんは、日本時間22日に行われるWBC決勝にも足を運ぶ予定とのこと。願いはもちろん、悲願の世界一を選手たちと共有することです。
産婦人科医として、出産という数々の奇跡に立ち合ってきた香月さん。侍ジャパン14年ぶりの世界一という奇跡にも立ち会えるか…。決勝戦のスタンドにひと際目立つ、赤いユニフォームにも注目です。