男性死亡、2日前に体調悪化…勾留中「急いで診察せず」と遺族提訴…和解 県800万、病院200万円を支払いへ

事態を重く受け止めた県警

 2018年9月に勾留されていたベトナム国籍の男性(57)=当時=がうっ血性心不全で死亡したのは速やかに医師の診察を受けさせる義務を怠ったからなどとして、男性の遺族が埼玉県(県警)と診察先の病院を相手取り、約5900万円の損害賠償を求めた訴訟は23日、さいたま地裁で和解が成立した。県と同病院はそれぞれ800万円、200万円を遺族側に支払う。

 訴状などによると、男性は同年1月に強制わいせつの疑いで逮捕、武南署に勾留されており、7月に体調不良を訴えて同病院を受診。肺高血圧症などと診断を受けて投薬による治療を行っていたが、9月15日に意識不明の状態でいるのを同署員が発見。別の病院に救急搬送され、その後に死亡が確認された。

 原告側は、疾患を抱えていた男性の体調について、死亡する2日前の接見時に悪化していたとして、速やかに医師の診断を受けさせる義務があったことや同病院の医師が留置担当官に医療上の指示を怠ったとして、19年7月に提訴。県側は、男性が医師による定期的な診断を受けていたことなどを主張していた。

 和解に当たり県警監察官室の佐藤拓也首席監察官は「男性のご冥福をお祈りし、ご遺族の皆さまに対して、お悔やみを申し上げます」とコメントを発表した。

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