ソフトボール男子 4強に長崎県勢3校 全国高校選抜

 全国高校選抜大会は27日、各地で11競技が行われ、長崎県勢は大村市で開催されているソフトボール男子で大村工、佐世保西、島原工の3校が準決勝へ進んだ。これで県勢の銀メダル以上が確定した。

【ソフトボール男子準々決勝、九州産-大村工】先発して3回無失点と好投した大村工の右腕横石=大村市野球場

 この日は3回戦、準々決勝を実施。大村工は牛津(佐賀)を9-0の五回コールド、九州産(福岡)を7-3で退けた。佐世保西は啓新(福井)に8-7(延長九回タイブレーク)、豊川(愛知)に4-2で競り勝った。島原工は飛龍(静岡)を4-1で下すと、松山工(愛媛)に7-0で快勝。諫早は3回戦で熊本工に0-1で敗れた。
 剣道は男子の長崎南山、女子の島原が3回戦に進出。男子の島原は1回戦で郁文館(東京)に惜敗した。ソフトテニス男子の精道三川台も初戦で北海道科学大高に敗れた。
 28日は各地で9競技を実施。ソフトボール男子は大村工-佐世保西、熊本工-島原工の準決勝の後、勝者による決勝が行われる。

◎「負けられない」意識が原動力 打倒大村工でレベルアップ

 「負けられない」。県内でしのぎを削ってきたチーム同士のライバル意識が選手たちを突き動かしていた。大村市開催のソフトボール男子で、4強を長崎県勢3校が占める快進撃。1日で2試合という大会第3日を乗り越えた大村工、佐世保西、島原工の各チームは、虎視眈々(たんたん)と頂点を見据える。

【ソフトボール男子準々決勝、佐世保西-豊川】1回表佐世保西1死二、三塁、横田が左前へ2点適時打を放つ=大村市総合運動公園

 県勢はこの全国選抜大会で2012年から44連勝をマーク(18年は悪天候で準決勝以降が打ち切り、20年はコロナ禍で中止)。21年の準々決勝で連勝記録は止まったが、22年は大村工が大会最多となる8度目の優勝を果たした。
 大村工が絶対的な強さを誇る中、県内他校の共通認識は「日本一のチームを倒さなければ全国に行けない」。目線を上げて練習を重ね、レベルアップに励んでいる。そして今回、地元開催で出場枠が増え、力を示すチャンスが巡ってきた。
 佐世保西は日本代表の現エース小山玲央(平林金属)を擁して初優勝した16年以来の出場。その小山も応援に駆けつけた中、前々回覇者の啓新(福井)との3回戦は延長九回タイブレークの熱戦を制した。準々決勝は昨夏8強の豊川(愛知)を倒した。主将の坂本は「大村工に負けていないというプライドを持って練習しているからこそ、ここまで戦えているんだと思う」と言葉に力を込めた。
 県予選を制した島原工は組み合わせが決まったときから「決勝で大村工を倒して日本一」を掲げてきた。その目標に向けて、この日も大黒柱の橋本が2試合で計13回186球の熱投。3回戦で伝統校の飛龍(静岡)に競り勝つと、準々決勝の松山工(愛媛)戦は野手陣が奮起して7点を奪い、エースを援護した。

【ソフトボール男子準々決勝、島原工-松山工】2回表島原工1死一、二塁、楠田が左中間に適時二塁打を放つ=大村市野球場補助グラウンド

 準々決勝の二回、適時二塁打を放った楠田は「何とかして橋本を助けたかった」。橋本も「県1位としての意地を見せる」と気持ちを奮い立たせていた。
 連覇を狙う大村工はここまで危なげなく勝ち上がってきた。3回戦、準々決勝ともに序盤から主導権を握り、堅守で逃げ切った。いずれも先発登板し、計5回無失点で流れをつくった右腕横石は「強気の投球ができた」。主将の宮嵜は「ワンプレーの重みを大事に、チーム一丸で戦いたい」と気を引き締め直していた。
 最終日はまず準決勝で県勢対決が実現する。大村工の山口監督は「各指導者の熱意、学校の協力、地域の支えがあってこそ」と喜び、静かに燃えている。地元の応援も背に、全国の頂点を懸けた戦いはいよいよクライマックスを迎える。

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