海星、広陵に逆転負け 惜しくも8強入りならず 選抜高校野球大会

【3回戦、海星-広陵】広陵打線を相手に堂々の投球を見せた海星の先発吉田(左)と救援髙野=甲子園

 選抜高校野球大会第8日は27日、兵庫県西宮市の甲子園球場で3回戦3試合が行われ、長崎県の海星は広陵(広島)に2-3で逆転負けし、8強入りを逃した。
 海星は二回、先頭平尾の左前打と峯の犠打で好機を広げ、2死二塁から敵失と吉田の左前適時打で2点を先行した。三、四回も得点機はあったが、ここをゼロに抑えられると、流れは徐々に広陵へ。五、六回にいずれも右中間三塁打と犠飛で1点ずつを失って追いつかれ、七回1死一、二塁から失策で決勝点を献上した。
 このほか、山梨学院は光(山口)に7-1で快勝。専大松戸(千葉)は高知を6-4で退けた。
 第9日の28日は3回戦4試合を実施する。

◎広陵に逆転負け 引き戻せなかった「流れ」

 大歓声が戻った甲子園で、優勝候補の名門から流れを引き戻すのは難しかった。海星は広陵(広島)に逆転されて3回戦敗退。加藤監督は「(失点前に)引き離すチャンスを逃した。選手ではなくて、アジャストできなかったこちらのせい」と自らを責めた。
 四回までは流れをつかんでいた。エース吉田は緩急自在に無四球で2安打に抑え、バックも堅守でカバー。逆に敵失で先制すると、吉田はバットでも適時打を放って自らを乗せた。力感なく、ゆったりとしたフォームからコンパクトに振り抜く左腕のボールに、広陵の打者は球速以上の直球の伸び、変化球のブレーキを感じていた。
 打線も低めの際どい球を「出来過ぎなくらい」(加藤監督)見極めた。四回までに79球を投げさせ、攻撃に時間を割いてペースを握った。だが、五回以降に拙攻が続くと、歯車が狂った。吉田の甘い球を捉え始めた広陵打線を大観衆が後押し。あっという間に聖地の空気が変わった。
 七回に逆転された後、2番手髙野がプロ注目のスラッガー真鍋の懐を突いて見逃し三振に。ピンチを切り抜けて1点ビハインドにとどめたが、今度は広陵が一つアウトを取るたびにスタンドから拍手が響きだした。異様な雰囲気の中、同点、逆転のホームを踏むことはできなかった。
 金星を逃してしまった一戦。悔いは残るが、たくさんの経験は積めた。手応えもつかんだ。吉田は「緩急が通用することは分かった。あとは球速を上げていく」、髙野は「強気でいけた。悔しさを忘れず一段と強くなる」。甲子園を肌で知ったチームの“雪辱の夏”が待たれる。


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