宇都宮の中学生2人が4歳児保護 歩道に一人きり「助けなきゃ」

感謝状を受け取った(右から)松本さん、川田さん、平野さん=28日午後、宇都宮中央署

 迷子の男児(4)を保護したとして、宇都宮中央署は31日までに、宇都宮市宮の原中の生徒ら3人に感謝状を贈った。中学生2人が男児を見つけたのは、夕暮れ時の宇都宮環状道路(宮環)。2人は幼なじみで、同級生の母親の協力を得て保護、通報した。旧知の3人の連携が、幼い命を交通事故の危険から救った。

 感謝状を受け取ったのは、同校2年の松本瑛多さん(14)と川田莉舞さん(14)、宇都宮市、看護師平野恵美さん(47)の3人。

 2日午後5時半ごろ。松本さんと川田さんは陸上部の練習を終え、同市下砥上町の宮環を歩いて帰宅していた。家が近所の2人。ふと、片側2車線の道路の向こう側で、歩道を走る1人の男児が目に留まった。必死な様子で、民家の少ない方へと向かう姿に違和感があった。

 「危ない。保護しなきゃ」。とっさに考えたことは同じだった。道路を横断し、走って男児を追いかけた。

 「お母さんはどこ?」。尋ねると、男児は「おうち」「(家は)あっちだよ」と答え、来た道を戻り出した。家まで送り届けようと、手をつないで3人で並んで歩き、男児の案内で自宅を目指した。

 しかし、なかなかたどり着かない。男児も「疲れた」とこぼし、2人は「どうしよう」と不安になった。思いついたのが、近くの母校・姿川第二小を頼ることだった。松本さんが男児をおんぶして歩いた。学校の校庭にいたのが、子どもの学童野球の練習に付き添っていた平野さんだった。

 松本さんと川田さんにとって、平野さんは同級生の「お母さん」で顔見知り。事情を説明し、携帯を持っていない2人に代わって平野さんが110番した。ちょうどその数分前、男児の保護者からも行方不明の申告が警察に入り、捜索を始める直前だった。

 感謝状を受け取った松本さんは「助けたい思いが強かった」と振り返った。川田さんは「松本君や平野さんがいてくれて心強かった。(男児が)無事でよかった」。

 男児はその日の夕方、母親が目を離した隙に家から出てしまったという。保護した宮環は自宅から約1キロ離れた場所だった。平野さんは「子育て中に全く目を離さないのは難しい。保護できて良かった」と安堵(あんど)した。本澤成忠署長は「素晴らしい行動」と3人の連携をたたえた。

感謝状を受け取る松本さん(左から2人目)と川田さん(左端)、平野さん(左から3人目)=28日午後、宇都宮中央署

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