福井県鯖江市議会の百条委員会が市長らの偽証認定 刑事告発へ報告書案可決、市長は偽証否定

報道陣の取材に応じる福井県鯖江市の佐々木勝久市長=3月31日夜、鯖江市役所

 鯖江広域衛生施設組合の新ごみ焼却施設の入札の経緯を調べる福井県鯖江市議会の調査特別委員会(百条委員会)は3月31日、証人喚問した佐々木勝久市長と玉邑哲雄市議に虚偽の証言があったとし、両氏を地方自治法違反(偽証)の疑いで刑事告発するべきとした調査報告書案を可決した。賛否同数で丹尾廣樹委員長が採決した。近く市議会臨時会を開き提出する。

 告発は、臨時会で議案として諮った上で正式に決まる見通し。採決では可決される公算が大きい。

 偽証の認定は、佐々木市長と玉邑市議が市内土木建設会社幹部と会食した際、下請けとして入札に参加するよう要請したかどうかを巡るもの。この点に関し、証人喚問では土建会社会長と佐々木市長の証言が真っ向から食い違っていたが、報告書案では土建会社会長側に「一貫性があり、真実性を裏付ける」などとし、佐々木市長の証言に「著しく虚偽の疑いが生じる」と結論付けた。

 同じく入札参加要請を「事実無根」とした玉邑市議の証言も、偽証と認定した。

 告発を巡る事実認定には委員から疑問が呈され、賛否は真っ二つに割れた。報告書案の採決前、帰山明朗副委員長ら3人が、告発への言及を削除した内容での修正案を提出。帰山副委員長は、百条委の法的助言者の弁護士の「(偽証を問うには)故意に事実と違うことを言ったのか、根拠を明らかにすることが大事」との見解を踏まえ、「これまでの調査で導いた事実と(報告書案で)認定した事柄の間には、論理の飛躍がある」と主張した。

 修正案は賛成3、反対3の可否同数による委員長採決で否決され、引き続いて原案の報告書案の採決に移行した。今度は修正案に賛成した3人が反対に回って賛否同数となったが、委員長採決で可決された。

 百条委は昨年10月から計19回開催。▽新ごみ焼却施設整備運営事業の経緯と疑義▽市議と組合職員による他市町議員への働きかけ-の2点を調査項目とし、佐々木市長ら関係者延べ11人を証人喚問。報告書案は3月22日、賛否同数の委員長採決で否決され、当初定めた3月定例市議会への提出を断念した上で、再度協議を進めていた。

「正直驚いている」市長が偽証を否定

 福井県鯖江市の佐々木勝久市長は3月31日夜、報道陣の取材に応じ、市議会百条委員会が偽証の疑いで市長らを告発すべきだとする新たな報告書案を可決したことについて「正直驚いている」と困惑気味に話した。「虚偽(の証言)は一切ない」と重ねて強調し、「どの部分を委員会として(偽証の)結論を出されたのかを確認したい」と述べた。

 関係者の証言が食い違う中で出された百条委の判断について「(賛否が)真っ二つに分かれるのはどういうことなのか。この間に新たな事実認定ができるようなことが行われたとも聞いていない」と疑問視。弁護士にも相談し、今後の対応を検討する考えを示した。

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