SFルーキーの太田格之進は第1戦予選がいきなりSF23初走行に。「どうしてくれるんですか(苦笑)」

 4月7日、静岡県の富士スピードウェイで予定されていた全日本スーパーフォーミュラ選手権第1戦/第2戦の専有走行。今季からSF23シャシーが導入されたことで、全ドライバーにとって貴重なSF23での富士初走行となるはずだったが、天候悪化が予想されるという理由により、専有走行はキャンセルとなってしまった。なかでも、今季からスーパーフォーミュラに参戦する太田格之進(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)にとってはSF23での初ドライブの機会が失われることになってしまった。

 2022年に全日本スーパーフォーミュラ・ライツ選手権、さらにスーパーGTで印象的な走りをみせ、今季スーパーGT GT500クラス、そしてスーパーフォーミュラのシートを勝ち取った太田は、2022年12月に鈴鹿サーキットで行われた合同テストでSF19をドライブし、初めてのスーパーフォーミュラを体験していた。

 しかし、今季から導入されたSF23シャシーの初ドライブとなるはずだった3月6〜7日の鈴鹿合同テストを前に、鈴鹿で行われたスーパーGTのメーカーテストで太田はトラブルからクラッシュ。背中を痛めてしまった。そのためDOCOMO TEAM DANDELION RACINGの6号車は大津弘樹が代わってステアリングを握っていた。

 太田はその後、3月25〜26日に富士で行われたスーパーGT公式テストに参加。レーシングカーのコクピットに復帰しており、この日のスーパーフォーミュラ第1戦/第2戦の専有走行は貴重なSF23の初ドライブになるはずだった。ただ、雨が降り続いていた富士でさらなる天候悪化が予想されたことから、専有走行は中止となってしまった。なお一部チームによれば、SF23のスペアパーツが不足していることもこの走行中止の理由のひとつだという。

 この中止決定により、太田のSF23での初走行は4月8日の第1戦公式予選となってしまった。初走行でいきなりぶっつけ本番の予選という状況について太田に聞くと「どうしてくれるんですか(苦笑)。勘弁して欲しいですよ」と苦笑いを浮かべた。

「スーパーGTの公式テストもウエットだったので、ドライは1ヶ月以上走っていないんです。それはまあいいにしても、SF23はドライでもレインでも初走行が予選になってしまいました。こんなの初めてですよ」と太田。

「エアロが変わるにしても鈴鹿だったらまだSF19の経験があるからいいと思うんです。でも富士はスーパーフォーミュラで走ったことがないですし、初めて尽くしでいきなり予選ですからね」

 とはいえ、4月8日の予選は40〜45分程度の計時予選に変更されることが濃厚。この短い時間で太田はSF23に適応していくしかない。「おそらく何セットかニュータイヤを履くことができるとは思うのですが、そうすると逆にセットアップの時間をとれなくなってしまう。経験があるドライバーならある程度こなせるとは思うんですけど……。DOCOMO TEAM DANDELION RACINGはトップチームなのでその点は信頼していますが」と太田は悩ましい状況を語った。

 しかし太田は、初めて尽くしの難しい状況ながら、第1戦に向けてあくまでポジティブな姿勢をみせた。

「正直、何も分からないですし、明日になってみないとどんなタイムになるのか、富士でのスーパーフォーミュラがどんなスピード感なのかは未知数です。でも、初めて乗って上の順位にいけたらカッコいいですよね。そこに集中して頑張りたいです。勝手に大丈夫じゃないかと思ってます(笑)」

全日本スーパーフォーミュラ選手権第1戦/第2戦富士 太田格之進(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)
2022スーパーフォーミュラ合同/ルーキーテスト 太田格之進(DANDELION RACING)

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