桜前線「異例の早さ」で青森到達 九州より東北で先に満開 将来は「全国一斉に開花」が当たり前に⁉

きょう(4月7日)、青森で桜の開花が発表されました。平年(4月22日)に比べて2週間以上も早く、観測史上最も早い記録です。

この春の桜前線は「異例の早さ」で北上しています。3月14日に東京で観測史上最も早い開花発表でスタートし、その後、全国多くの地点で史上最も早い開花記録を更新。平年より2週間以上も早く本州最北の青森にまで達しました。

以下は、ことしの桜の開花日と平年との差です。
▶九州地方 0~4日早い ▶四国地方 5~6日早い ▶中国地方 6~10日早い ▶近畿地方 3~9日早い ▶東海地方 5~9日早い ▶関東甲信地方 8~14日早い ▶北陸地方 10~12日早い ▶東北地方 13~15日早い

全国的に平年よりも早くなっていますが、より北の地域になるほど大幅に早くなっている傾向がみられることがわかります。特に東北地方では、平年よりも2週間程度早く開花。早さが際立っています。

満開日でみても、秋田(4月7日)は平年に比べて15日も早く、盛岡では18日も早くきのう(4月6日)満開を迎えています。

福島(3月24日)や仙台(3月28日)の満開は、鹿児島(4月5日)や大分(4月3日)、熊本(3月29日)など九州の満開より早い記録です。

この春の桜の開花日の逆転現象は、2月下旬から3月が全国的に記録的な暖かさとなったことが大きく影響しているとみられています。

1946年の統計開始以降で3月の気温としては、北日本・東日本では平年差+3.4℃と観測史上最も高くなったほか、西日本では平年差+2.6℃と観測史上1位タイの高温となりました。

そして、この春のように九州から東北にかけて日本列島でほぼ同時に桜が開花する状況は、地球温暖化が進んだ将来の日本で見られる桜開花の傾向の一端との指摘もあります。

みなさんも感じているとは思いますが、桜の開花日は昔に比べると早くなっています。2020年時点の平年日は、1990年時点と比べて全国の多くの地点で4~6日程度早くなっています。ただ鹿児島ではそれほど変わっていません。

では将来的にはどうなると予想されているのでしょうか。

九州大学がシミュレーションした将来の桜開花予想では、日本周辺の平均気温が2~3℃高くなった場合、2100年の桜の開花は、東北地方で今よりも2~3週間早くなる一方で、九州の一部地域など温暖な場所では逆に1~2週間遅くなるとの予想結果が示されています。

また、種子島や鹿児島の西部では、まったく桜が咲かない地域が出てくると見られています。

これは桜の花芽が生長するには3~10℃程度の低温による「休眠打破」が必要とされていますが、暖かい地域では冬の寒さが足りずに「休眠打破」が十分に行われなくなるためです。

ことしは異例の早さで北上している桜前線。ただこれが異例ではなくなる日も、そう遠くないのかもしれません。

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