野尻智紀が通算14回目のPP獲得。富士初走行の新人リアム・ローソンが3番手【SF第1戦予選レポート】

 4月8日(土)、2023年の全日本スーパーフォーミュラ選手権第1戦が開催され、通常のノックアウト方式とは異なる計時方式となったシーズン最初の予選で、前年王者の野尻智紀(TEAM MUGEN)が通算14回目となるポールポジションを獲得した。

 2番手は宮田莉朋(VANTELIN TEAM TOM’S)が入り、昨シーズンの最終大会から3戦連続で同じ顔ぶれとなったフロントロウに並ぶことに。3番手にはルーキーのリアム・ローソン(TEAM MUGEN)が入った。

 いよいよ幕を開けた2023年のスーパーフォーミュラ。あいにくの悪天候で7日(金)の専有走行がキャンセルとなり、全チームの新車『SF23』による富士初走行が公式予選本番に。通常はQ1・Q2のノックアウト方式が採用されるが、専有走行キャンセルという事情を鑑み、45分間の計時予選へと変更された。

 夜半のうちに雨は上がったものの、予選日の富士スピードウェイはまだ分厚い雲が上空にたれ込めていた。併催カテゴリーの走行である程度コースから水ははじかれていたが、ところどころウエットパッチも残っているような状況で、スーパーフォーミュラの公式予選はウエット宣言が出されて午前9時20分にスタートした。

 コースコンディションと車両の確認のため、セッション開始と同時にほとんどのマシンがコースイン。スーパーGTメーカーテストでのクラッシュの影響で3月の鈴鹿テストで走行を見合わせ、これがSF23の初走行となった太田格之進(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)が1分27秒台のタイムでまずはタイミングモニターのトップに立ち、続けて野尻、山本尚貴(TCS NAKAJIMA RACING)らがトップタイムを塗り替えていった。

 野尻は計測5周目に1分22秒673まで自己ベストタイムを削り、これに1分23秒台で山本と佐藤蓮のTCS NAKAJIMA RACING勢が続く。トヨタ勢で早い段階からスピードを見せたのが坪井翔(P.MU/CERUMO・INGING)。計測5周目で佐藤を上回り3番手タイムを記録すると、翌周には1分22秒台にタイムを入れた。

 野尻は5周目に自己ベストタイムを計測した後、ピットに戻ってマシンの調整を行うと再度アタック。1分22秒062まで自己ベストタイムを削って見せた。セッションの折り返し地点を迎えたところで、この野尻のタイムがトップ。これに約0.8秒差で牧野任祐(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)が続き、関口雄飛(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL)、坪井と並んでいたが、坪井が1分22秒488とタイムを更新して2番手に浮上した。

 この頃には上空の雲の量も減り、日差しが差し込むようになるが、ところどころにウエットパッチは残ったまま。多くのマシンがなかなかタイムを更新できない中、ローソンが速さを見せる。残り18分のところで1分22秒266を記録して野尻に続く2番手に浮上。その翌周はセクター1で最速タイムを記録し連続アタックで野尻を上回るかと思われたが、このままピットインしてしまった。

 残り15分でのリザルトは、上位2台にTEAM MUGENが並び、その後方には坪井と阪口晴南のP.MU/CERUMO・INGING勢が続く。阪口はセッション前半こそ後方の順位にとどまっていたが、このタイミングで1分22秒627まで自己ベストタイムを削り4番手につけた。

 残り10分あたりになると、最後のタイムアタックを見据えてそれぞれのマシンがピットに戻り、コース上にはいったん静寂が戻る。各車がニュータイヤを装着しアタックのタイミングを図っていたが、周囲と違う戦略で早めにコースに出ていったのが宮田。前後に誰もいないクリアラップで1分22秒108をたたき出し、野尻のトップタイムに肉薄した。

 宮田に続いて、野尻と小林可夢偉(Kids com Team KCMG)も早めにコースに入ったが、野尻はコースインラップでピットへ戻り、リヤタイヤを交換。内圧の調整も行い周りと同じようなタイミングで再びピットを後にする。

 なお、ここまで速さを見せていた関口はアタックに向けてガレージの前にマシンを並べていたが、残り時間が迫ってきたところで再びピットの中にマシンをしまってしまう。マシントラブルに見舞われてしまったようで、残念ながら最後のタイムアタックはかなわなかった。

 全車がほとんど同じタイミングでピットアウトし、コースは一気にトラフィック状態に。どのドライバーもチェッカーフラッグを受ける最終ラップでの自己ベスト更新を狙うが、セクター1では全体ベストを示す赤いタイム表示になるマシンがいるものの、セクター2、3でタイムを削ることができない。

 結局、野尻・宮田のタイムを塗り替えるドライバーは現れず、セッションは終了。昨シーズンの最終大会鈴鹿ラウンドの2レースから3戦連続で野尻がポールポジションを獲得することとなった。

 2番手の宮田に続き3番手に入ったのはローソン。終盤のアタックでトラフィックにかかったか、いったん仕切り直しをすることにはなったが、セクター1から速さを示し、最終ラップに自己ベストタイムを削って3番グリッドを獲得した。

 4番手には今シーズンチームを移籍した大湯都史樹(TGM Grand Prix)が入り、以下、佐藤、坪井という顔ぶれがトップ6となった。

 1デイレースとなる第1戦の決勝レースは、このあと14時30分にスタートする予定だ。

2023スーパーフォーミュラ第1戦富士 野尻智紀(TEAM MUGEN)
2023スーパーフォーミュラ第1戦富士予選 富士初走行のリアム・ローソン(TEAM MUGEN)
トラブルのためか、最終アタックのためのコースインができなかった関口雄飛(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL)
予選2番手となった宮田莉朋(VANTELIN TEAM TOM’S)
予選4番手の大湯都史樹(TGM Grand Prix)
予選5番手の佐藤蓮(TCS NAKAJIMA RACING)

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