野尻智紀がポール・トゥ・ウインで通算9勝目。ローソンはペナルティで表彰台失う【SF第2戦決勝レポート】

 2023年の全日本スーパーフォーミュラ選手権第2戦決勝レース(41周)が富士スピードウェイで行われ、野尻智紀(TEAM MUGEN)が通算9勝目となる今季初優勝を飾った。2位には坪井翔(P.MU/CERUMO・INGING)が入り、2022年第6戦以来の表彰台を獲得。

 3番手でチェッカーを受けたのはリアム・ローソン(TEAM MUGEN)だったが、5秒のタイム加算ペナルティを受け結果は5位に。ローソンに離されず食らいついていた山下健太(KONDO RACING)が繰り上がりの3位で、3年ぶりの表彰台獲得となった。

 公式予選が行われた午前中に引き続き、青空が広がった富士スピードウェイ。太陽の日差しも強く、スタート時点で気温は13度、路面温度は32度を示していた。予選で15位だった関口雄飛(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL)はエンジン交換によるグリッド降格のペナルティを受けて最後尾に。

 代わって15番グリッドを手に入れていたのは国本雄資(Kids com Team KCMG)だったが、駆動系トラブルが発生したようで、いったんはグリッドに着いたもののスタート進行中にピットへと戻されてしまった。修復はスタート前に完了し、無事にピットスタートを切っている。

2023スーパーフォーミュラ第2戦富士 ダミーグリッドからガレージに戻された国本雄資(Kids com Team KCMG)の車両

 14時30分にフォーメーションラップが始まり、41周の決勝レースがスタート。ロケットスタートでトップを奪ったのは3番グリッドスタートの大湯都史樹(TGM Grand Prix)で、TGRコーナーで野尻との戦いをサイド・バイ・サイドに持ち込むと、続くコカ・コーラコーナーで一気にオーバーテイク。

2023スーパーフォーミュラ第2戦富士 スタート

 オープニングラップは大湯、野尻、宮田莉朋(VANTELIN TEAM TOM’S)、坪井、山下というトップ5となり、ローソンはスタートでやや出遅れたか6番手にドロップした。ただ、宮田のペースが序盤上がらず、2周目に坪井、4周目に山下、そして6周目にローソンの先行を許しじわじわとポジションダウンしていった。

 翌7周目のTGRコーナーで、ポジション争いを展開していたジュリアーノ・アレジ(VANTELIN TEAM TOM’S)と太田格之進(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)が接触。アレジがスピンからコースサイドにマシンを止めてしまい、レースは前戦に続きセーフティカー(SC)が導入された。このSC中にタイヤ交換のためのピットウインドウが開き、10週を終了するところでほとんどの車両がピットへとなだれ込んでくる。勝負は各チームのピット作業となった。

ジュリアーノ・アレジ(VANTELIN TEAM TOM’S)がマシンを止め、7周目よりセーフティカーが導入された

 まず作業に入ったのはトップの大湯だが、ピット作業エリアを離れる際に、後続の通過をわずかに待つことになりタイムロス。対する野尻はスムーズな作業で大湯の寸前でコースに復帰。

 一般的合意事項違反により、ペナルティストップ10秒が課せられた平川亮(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL)は、SC導入直前にペナルティ消化のためのピットを終えたばかりということもあり、唯一のステイアウトを選択。

 これで平川が見た目上のトップを走行するが、野尻が大湯をかわして事実上のトップにおどり出た。大湯の後ろ、事実上の3番手には坪井が着け、山下、宮田、ローソンという順に。2台同時のピットインで、ローソンは若干のタイムロスを受けてポジションを下げるかたちになった。

 13周目にSCがコースを離れてリスタートが切られると、大湯が野尻に勝負を仕掛ける。コントロールラインを通過してサイド・バイ・サイドに持ち込み、TGRコーナーでは野尻の前に出たものの、ブレーキをロックさせてしまい再び野尻が先行する。

 大湯は14周目に坪井にかわされ、その後数周は何とか持ちこたえてはいたが、20周を過ぎたあたりから一気にペースダウン。リスタート直後のブレーキロックでタイヤにダメージを負い、ローソン、山下、宮田、その後方の小林にもかわされてしまった。大湯はそのままピットへと戻りタイヤを交換するが、これで一気にポイント圏外へと後退する。

 SC中のピットインを見送り唯一ステイアウトしていた平川は、終盤までペースを維持して周回していたが、タイヤ交換後にポイント圏内に戻れるほどのマージンはなく、事実上のトップは野尻。野尻は坪井との差を2秒前後でコントロールしながらレース終盤に入っていた。

 坪井は野尻を追いかけつつも、背後に迫るローソンからのプッシュをしのぐ展開に。36周目には両者の差は0.5秒まで縮まり、TGRコーナーではローソンが坪井のインを刺したが、坪井も冷静にブロックし2番手の座を守る。2台が争っているすきにローソンの後ろには山下もじわじわと接近。

 ただ、この時点でローソンには、SC中の手順違反によりレース結果への5秒のタイム加算ペナルティが出されていた。前日の第1戦はオープニングラップでレースを終えてしまった山下にとっては、SF23での初めての決勝で久々の表彰台獲得が目前に迫る。なんとかローソンとの差を5秒以内に抑えるため、終盤までペースを維持して周回した。

 39周を終えるところで先頭の平川がピットインし、これで野尻が名実ともにトップに。そのまま41周目のチェッカーを受け、野尻がポールポジションから今季初優勝を飾り、1大会2レース制の開幕大会でTEAM MUGENが2連勝となった。

 ローソンをおさえきり2位を守った坪井は2022年の第6戦富士大会以来の表彰台獲得。山下に至っては、2020年の開幕戦もてぎ大会以来、3年ぶりのポディウム登壇となった。4位は宮田。3番手でチェッカーを受けたローソンは5秒のタイム加算で5位という結果になった。

2023スーパーフォーミュラ第2戦富士 野尻智紀(TEAM MUGEN)
2023スーパーフォーミュラ第2戦富士 野尻智紀(TEAM MUGEN)
2023スーパーフォーミュラ第2戦富士 坪井翔(P.MU/CERUMO・INGING)
2023スーパーフォーミュラ第2戦富士 山下健太(KONDO RACING)
2023スーパーフォーミュラ第2戦富士 表彰式
2023スーパーフォーミュラ第2戦富士 リアム・ローソン(TEAM MUGEN)
2023スーパーフォーミュラ第2戦富士 小林可夢偉(Kids com Team KCMG)

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