茨城の霞ケ浦・北浦 未利用魚活用策探る 県が実証試験

霞ケ浦で水揚げされたハクレンなどの未利用魚(県提供)

■漁業者の収入源確保へ
茨城県は2023年度、霞ケ浦・北浦でこれまで食用とならないため、湖に戻すか処分していた外来魚「ハクレン」など未利用魚の活用策検討に乗り出す。魚粉を試作し、成分などを分析する調査・実証試験を行い、将来的には飼肥料の原料や、機能性成分を生かした商品づくりにつなげ、不漁が続く漁業者の新たな収入源を確保したい考えだ。

県漁政課によると、ワカサギのトロール漁では近年、市場価値がない未利用魚が交じって水揚げされる頻度が高くなっており、これら未利用魚は焼却処分に手間がかかるという。中には体長1メートルを超えるハクレンもおり、網破損の被害も出るなど、漁業者にとって、現状では〝やっかいもの〟だ。

一方、1984~86年まで年千トンを超えていたワカサギ漁は近年不漁が続き、2021年は同35トンまで減少。加えて、テナガエビも不漁で、漁業者は大きく収入を減らしている。こうした状況を背景に、漁業センサスによると、霞ケ浦・北浦の漁業就業者数は08年の725人から13年には518人に減り、18年は326人と10年間で半数以下に落ち込んだ。

こうした状況を打開しようと、県は当初予算に1100万円を計上し、地元漁協に委託する形で、養殖用飼料工場での魚粉試作・成分分析を実施する調査・実証試験を始める。さらに、血液や血管を健康な状態に保つエイコサペンタエン酸(EPA)や、脳の働きを活発にするドコサヘキサエン酸(DHA)などの含有量も把握する。

その後、試作した魚粉の成分を基に、霞ケ浦で盛んなコイ養殖や畜産の飼料、畑作の肥料に向いているか、需要がどれだけあるかなどを調査する方針。機能性成分の含有量が高ければ、健康食品の道が開けるとみられる。

魚粉化は、滋賀県の琵琶湖でも実施。在来種を食べてしまう外来魚駆除対策として、ブルーギルやブラックバスを魚粉にして、堆肥につなげている。

同課は「年度内に結果を出し、現在はお金にはならないものがお金になるようなビジネスの道筋を何とかつくりたい」と意欲を見せる。

© 株式会社茨城新聞社