茨城・日立の共楽館 伝統芸能公演 歌舞伎や太鼓に歓声

6年ぶり開催の「郷土の芸能」で披露された子ども歌舞伎=日立市白銀町

日立鉱山の福利厚生施設として建設された、茨城県日立市白銀町の共楽館(日立武道館)で9日、地域の伝統芸能を継承する子どもたちによる演芸会「未来へつなぐ 郷土の芸能」が開かれた。迫力ある太鼓演奏や子ども歌舞伎が披露され、詰めかけた約300人の観客から大きな歓声と拍手が湧いた。

公演は、今年で設立30年を迎えた認定NPO法人「共楽館を考える集い」(佐藤裕子代表)が主催。2017年に創建100周年記念で初めて公演して以来、6年ぶりの開催となった。

まず同市の「常陸之國御諏訪太鼓保存会」が出演。幅約2メートルの「大締太鼓」などで勇壮な演奏を響かせ、小島璃緒さん=中1=は「練習の成果が出せた」、大島大悟君=小6=は「納得の出来」と語った。

西塩子の回り舞台保存会(常陸大宮市)の子ども歌舞伎は、「白浪五人男」などを披露。出演した小学生が長ぜりふを述べて見栄を切ると、観客からおひねりが飛んだ。主役の一人、檜山柚貴君=小5=は「精いっぱい声を出して頑張った」と振り返った。舞台には同NPOが昨年新調した組み立て式舞台が使われた。佐藤代表は「地域の発表の場などとして活用しながら共楽館を未来に伝えていきたい」と語った。

共楽館は鉱山技師が設計し、東京・歌舞伎座などを模して1917年に造られた劇場。外観は創建時の趣をほぼ残し、99年に国登録有形文化財、2009年に市文化財に指定された。

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