足利で飼育のヤギ2匹行方不明 牧場オープン予定も一時中断 「食べられないか心配」

行方不明になったヤギの「あいか」(右)と「はるか」=2022年9月

 農福連携に取り組む栃木県足利市のNPO法人あがた農楽園が、同市県(あがた)町のあがた駅南産業団地公園などで飼育していた雌ヤギ2匹が行方不明になっていることが12日までに分かった。5月には2匹と触れ合えるヤギ牧場のオープンを予定していたが、計画は一時中断に追い込まれた。地域住民らから多くの愛情を受けて育っていたヤギが姿を消したことに、同法人の関係者は落胆している。

 2匹のヤギ「はるか」と「あいか」は、昨年7月に近くの牧場で誕生し、9月に同法人が譲り受けて飼育を始めた。最近は県駅南側の緑地帯に新設した小屋からリードをつないで飼われていた。小屋には扉はなく、防犯カメラも設置されていなかった。

 最後に2匹が目撃されたのは7日夜。小屋付近で寝ているのを近隣の人が見ていた。その後、8日午前にヤギがいないことに関係者が気付き、足利署羽刈町駐在所に遺失届を提出した。

 同署によると、近隣会社が設置している防犯カメラに不審な車両や人影は映っていなかったという。

 同法人は緑地帯で牧場を開業しようと、2匹に芸を覚えさせたり、牧草地を整備したりするなどの準備を進めていた。石川隆道(いしかわたかみち)理事長(70)は「誰かが連れ去り、食べられていないか心配だ」と案じている。

 一方で、7日にヤギが主役のテレビ番組が始まったことが関係している可能性も指摘。「テレビを見てヤギがかわいいからと連れて行ってしまったのなら返してほしい」と切実に訴えている。

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