京都府南丹市の新しい教育長に1日付けで就任した國府常芳さん(62)に、抱負や地域の特色を生かした教育の進め方、全国的に課題となっている教師の働き方改革について聞いた。
―就任の抱負は。
教員生活36年のうち八木中に12年、園部中に14年いた。お世話になった多くの生徒、保護者、地域の人に恩返しをしたい。荒れた時代も経験したが、生徒だけの責任ではなく、家庭環境や社会にも要因があると感じた。子どもの気持ちに寄り添い、負の連鎖を断つことが教育だと考える。
社会教育は初挑戦だが、人権尊重のまちを目指して充実させる。学校教育でしてきたことと共通しており、経験を生かしたい。
―どのような特色ある教育を推進するか。
南丹市は住民の温かさが強みで、地域で子どもを育てるという視点が授業に取り入れられている。水害で苦労した高齢者、頑張る商工業者などから体験を聞くことは意義深い。ふるさとの強みと弱みを知ることで、愛着が湧く。住民には手伝ってもらうのではなく、共働するという意識がより広まってほしい。
ICTを生かした教育も、いち早く取り組まれてきた。タブレット端末が幅広く使いこなされている。授業の動画中継を別室や自宅から見るなど、不登校の子どものためにいっそう生かせるはずだ。
―教師の働き方改革が課題になっている。
新型コロナウイルス禍を、行事を本質的な部分に絞れたという点でプラスに捉えたい。体育祭は半日にしても感動的だった。何でも戻すのではなく、無駄なことは背負わず、大事なことは削らないようによく考えるべき。
教師の仕事を見える化していく。校務分掌の数が同じでも、職務の重みや先生の力量は違う。本当の意味で仕事量を公平にする経営力を高めていく。
―小中学校の通知表で頑張りや課題を記す「所見」を毎学期末に書くことが、過重労働につながっているとの指摘がある。
校長が判断すればいい。大規模校では夜遅くまでかかる。重要なのは、家庭とどのようにパイプをつなぐか。書かないなら、書かないなりの説明ができないといけない。その分、三者面談や家庭訪問は愛情を持って行う必要がある。