うなぎ料理、文化発信 茨城・笠間の専門店が独自動画 店主監督、若手制作者ら協力

「うなぎ料理の文化を世界に発信しよう」と、若手の俳優やクリエーターたちとショートムービーを制作した「量深」店主の馬場万作さん(右から2人目)=笠間市笠間(馬場さん提供)

日本の伝統食「うなぎ」の文化を世界に発信しようと、茨城県笠間市のうなぎ料理店が、若手の俳優や動画クリエーターと組んで、1分弱のオリジナルショートムービー(全3話)を制作し、動画投稿アプリ「TikTok(ティックトック)」などを使って、順次公開を始めた。店主は「飲食店のプロモーションに一石を投じられれば」としている。

動画を制作したのは、笠間稲荷神社の近くにある、うなぎ料理専門店「量深(りょうしん)」(同市笠間)の店主、馬場万作さん(50)。馬場さんの発案で、かねて知り合いの飲食店コンサルティング会社社長(36)から、役者を志す20代の若者2人とカメラマンを紹介してもらい、計5人で3月に撮影。その後、編集作業を行った。

作品タイトルは「3055」。未来の西暦3055年から現代にタイムスリップした若者「リョウ」が、「量深」ののれんをくぐり、うなぎ料理の文化に触れて、「人生が変わる」ほどの刺激を受けるという筋書き。脚本、監督ともに馬場さん自らが担当した。

馬場さんは、1990年に現在地で和食店を開業。その後、修業先の一つだった東京都内の老舗うなぎ店のあるじから、秘伝のたれを託され、8年前にうなぎ料理の専門店に業態を改めた。「江戸時代と変わらない」(馬場さん)伝統的な工程を守って焼かれるウナギは、ファンも多い。

交流サイト(SNS)の発達で、個々の飲食店が自己主張できる可能性が広がった。馬場さんは、今回は、うなぎ料理の文化発信とともに、「コロナ禍で活動の場が激減して苦しんでいた若い俳優や、創作意欲を発揮する場に飢えている動画クリエーターに活躍の場をつくってもあげたかった」という。

動画の出来栄えについて、馬場さんは「飲食店側の発信したい意欲と若い役者やクリエーターの熱量が相乗効果を生んだ」と話す。「費用も抑えられた」という。

全3話のうち、第1話は7日から公開が始まった。第2話は14日、第3話は21日(共に午後8時)に公開される。視聴希望者は、同店のホームページ内「量深ハートフィルムプロジェクト」から視聴できる。

ショートムービー作品「3055」の一場面

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