統一地方選 茨城、投票時間繰り上げ拡大 牛久除く16市町村

茨城キリスト教大に開設された移動期日前投票所=19日、日立市大みか町

23日投開票の統一地方選で、茨城県内17市町村のうち、1市を除く16市町村で当日投票締め切り時間が繰り上げられる。各選管は「期日前投票が定着」「午後6時以降は投票が少ない」として、法定の午後8時より1~2時間早める。終了時間の前倒しが広がる中、県選管は安易な繰り上げは行わないよう市町村に通知している。有識者は「住民の動向や意向を踏まえた上で、実施する際は十分な説明が必要」と指摘する。

県内で今回、選挙があるのは17市町村。2時間繰り上げて午後6時までとするのは、日立、土浦、古河など14市町村で、82%(前回75%)を占める。1時間早めて午後7時までは、水戸と龍ケ崎の2市。繰り上げる県内投票所は全603カ所のうち、579カ所に上る。

多くの選管は「期日前投票が浸透し、投票行動に影響しない」と説明する。土浦市は昨年7月の参院選で期日前投票が44.7%に上り、うち大型商業施設で投票した有権者が約5割いたとして、「期日前投票の充実」を強調。日立市は「選挙結果を早く出したいのに加え、経費節減や投票立会人の負担軽減もある」とする。

1時間繰り上げの水戸市は、繰り上げなかった最後の2018年県議選で、午後7~8時の投票が全体の1%未満だったことを理由に上げる。龍ケ崎市は同県議選で、同じ時間帯に3.54%が投票していたが「最後の1時間は投票率が低かった」と説明する。

今回繰り上げないのは牛久市のみ。公職選挙法上は原則午後8時までとされており、同市選管は「規定通りにした」と説明。今後については「その時の状況次第」とする。

投票時間を短縮する自治体は増加傾向にある。総務省によると、昨年の参院選では、県内投票所1366カ所のうち、牛久と守谷の両市を除く1321カ所で投票時間を繰り上げた。繰り上げ率は96.7%で、全国で最も高かった。

県選管は投票率向上や投票機会の確保の観点から、安易な繰り上げを行わないよう、選挙の度に各市町村に通知している。

市町村選管は投票率の低下を招かないよう、期日前投票で移動式の投票所を導入するなど、投票機会の確保や利便性の向上を図る。

市長選が24年ぶりの選挙戦となっている日立市では19日、路線バスの車内に投票箱などを設けた移動式の期日前投票所が茨城キリスト教大に設けられ、学生や職員が1票を投じた。

常磐大の吉田勉教授(行政法学)は「夕方の投票率が低いことや期日前投票の充実などを考慮すると、2時間程度の短縮は合理的ともいえる」と指摘。その上で「住民の動向や意向を踏まえ、繰り上げる場合は判断理由など十分な説明が求められる」と述べた。

© 株式会社茨城新聞社