茨城・牛久入管暴行訴訟 国に22万円賠償命令 東京地裁判決

東京地裁(資料写真)

茨城県牛久市の東日本入国管理センターで2019年1月、収容中に職員から暴行を受け、精神疾患を発症したなどとして、トルコ国籍のクルド人、デニズさん(44)=姓は非公表=が国に慰謝料など約1113万円を求めた訴訟の判決が20日、東京地裁であり、篠田賢治裁判長はデニズさんの訴えを一部認め、国側に22万円の支払いを命じた。

判決理由で篠田裁判長は、入国警備官がデニズさんのあご下の痛点を親指で強く押し込んだり、左肘を押さえつけたりした行為が「合理的に必要と判断される限度を超える」として違法と認定した。一方で、隔離はデニズさんが興奮状態だったため違法ではないとし、暴行と精神疾患の因果関係も認めなかった。

閉廷後の会見で、代理人の大橋毅弁護士は「違法性が認められた点を大きく評価したい」とコメント。デニズさんは「入管でのいじめ、暴行はまだ止まっていない。暴行を受けた人は裁判をしてほしい」と訴えた。

判決後、茨城大の付月准教授(国際人権法)は「損害賠償認定は司法による人権侵害の救済という意味で評価できる」と指摘。一方、違法性の判断基準が判決で示されなかったとして、一連の行為は「拷問」の可能性が十分にあるとして「国際人権条約に照らして検討すべきだった」とした。

訴状によると、デニズさんは同センターに収容中の19年1月、向精神薬を求めたが処方されず、ストレスから大声を上げた際、複数職員から暴行を受けたと主張。理由なく隔離されたことも違法などと訴えていた。

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