「平和と言っても平和はこない」内閣総理大臣顕彰の100歳 一盌にかけた思い

岸田首相から顕彰状を受け取り、記念撮影に応じる千さん(左)=20日午後、首相官邸

 岸田文雄首相は20日、茶道を通じた国際文化交流の発展に尽力したとして、茶道裏千家前家元の千玄室さん(100)に内閣総理大臣顕彰を授与した。首相官邸で開かれた顕彰式で首相は「平和外交の推進に貢献し、日々の研さんを重ね、生涯現役を貫く姿勢はすべての国民の模範」とたたえた。

 千さんは顕彰状と盾を受け取り、「身に余る光栄。先祖もみな喜んでいる」と笑顔を見せた。首相は「外交の分野で長きにわたり日本文化をアピールしていただいて感謝している」と述べた。

 式典後に千さんは、海軍特攻隊員として多くの仲間を亡くした体験に触れ、「残った自分は忸怩(じくじ)たる思いで生きてきた。戦争がない平和な世界を何とか、との思いで一盌(いちわん)をもって世界中を歩き回った。口々に平和と言っても平和は来ない」と、今後も茶道を通じた活動への意欲を語った。

 内閣総理大臣顕彰は国や社会に貢献し、顕著な功績があった個人や団体が対象で、これまで34人、16団体が受賞している。

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