大分トリニータ 開幕から10試合の戦いぶりを振り返る 【大分県】

序盤戦の総括

開幕から10試合を終えたJ2リーグ。大分トリニータは7勝1分2敗、勝点22で2位にいる。首位攻防戦となった10節・町田戦を落としたのは悔やまれるが、それ以外は攻守に内容が伴った試合で勝点を積み上げてきた。下平隆宏監督は「この時期に順位うんぬんを意識することはないが、昨年よりいいスタートが切れている。自分たちのベースがあり、試合をしながら課題を修正し、成長できている」と振り返った。

好調の要因は何より、選手たちのチームスタイルへの自信だろう。昨季後半から浸透してきた攻守の切り替えの速いサッカーを、今季序盤もしっかりと継続できている。その中核を担うのが中盤の野村直輝だ。多彩な技術とパスセンスで攻撃をけん引。彼を軸に左MFの藤本一輝、1トップの伊佐耕平が連動し、決定機を生み出している。上夷克典が統率する最終ラインは、攻撃の組み立てに改善点はあるものの、守備においては試合ごとに安定感を増している。キャプテンの梅崎司は「負けた2試合(大宮、町田)は相手に球際で上回れなかったが、それ以外は戦う姿勢を見せることができた」と好感触を口にした。

戦う姿勢でチームを引っ張る梅崎司

今後の戦いに向けたシナリオ

練習試合などを見る限り、サブ組も軒並み好調で、「先発組の調子が良く、いい流れだったのでメンバーを入れ替えることは少なかったが、使ってみたい選手は多い」と下平監督。けがから復帰した長沢駿、安藤智哉をはじめ、本来なら定位置を奪ってもおかしくない実力者たちが、レギュラー組の後ろに控えている。さらに長期離脱している池田廉や渡辺新太の復帰の見通しが立てば、チームに勢いが生まれそう。

練習からチーム内の雰囲気は良く、「選手が主体的に考えてプレーできている」(梅崎)だけに、戦い方を大きく変える必要はない。攻撃に出る時間なのか、守備に専念するのか、メリハリをより明確にして、試合をコントロールできれば大崩れはしないはず。ただ、運動量が求められるスタイルだけに、気温が高くなり、蒸し暑くなる今後の戦いに一抹の不安を残す。メンバーを固定せず、手持ちの駒をうまく回しながら連戦を乗り切りたい。

好順位を維持するチームの雰囲気は良い

(柚野真也)

© オー!エス! OITA SPORTS