長崎・小浜移住のお試しにどうぞ 神奈川出身の夫婦、古民家ゲストハウスを22日オープン

「諸山宿舎」の玄関前に立つ諸山岳志さん(右)、朗さん=雲仙市小浜町

 雲仙市小浜町への移住希望者や素泊まり観光客向けに、古民家をリノベーションした移住者がいる。元同市地域おこし協力隊の諸山岳志さん(29)と、妻の朗(あき)さん(29)=いずれも神奈川県出身=。築60年以上の住宅に現代らしさをミックスしたゲストハウス「諸山宿舎」を22日にオープンする。「小浜に暮らすように泊まってほしい。宿泊先の選択肢となり、結果的に地域を盛り上げるきっかけになれば」と抱負を語る。
 ともに多摩美術大で環境デザインを学んだ。小浜とのつながりは朗さんから。同町の古民家を活用したショップ&カフェ「刈水庵」を訪れた際、地元のデザイナーで同庵を手がけた城谷耕生さんと意気投合。店長を任され、2018年に移り住んだ。
 同大職員で学生時代から交際していた岳志さんも、楽しそうに働く朗さんの元へ通ううちに「人との距離感が心地いい」小浜のファンに。19年から3年間、同市の地域おこし協力隊として活動した。
 「小浜に定住する前に安く滞在できる場所はないですか」。移住者を増やす取り組みに関わる中で岳志さんは相談を受けた。朗さんも城谷さんから「刈水庵にゲストハウスがあればいいね」と何げなく言われていた。「自分たちがつくれたら」と考え、21年に刈水庵そばの空き家を購入した。
 10年以上、誰も住んでいなかった家。床は沈み全体的に傷みが激しかったが「あるものを生かし、できる限り残したい。そこに新たな発想を加えたい」という2人の初心は揺るがなかった。城谷さんは20年末に52歳で亡くなったが、彼のポリシーが生きていた。
 電気、水道工事や屋根以外のほとんどを岳志さんが1年がかりで改修。床や壁の隙間には木材をかませたりモルタルを塗ったりした。
 宿舎は2階に二つのツインルーム、1階に三つのベッドをカーテンで仕切った相部屋がある。案内しながら朗さんが「昔ながらの小浜の家にはお風呂がない」と語る。宿舎にも風呂場はなく、立ち寄り湯の利用を勧める。内装はモノトーンで統一し、玄関にはスマートキーを取り入れた。
 小浜の人から「地域のために頑張らなくていい。好きなことをやって」と言われ移住を決めたと岳志さんが話せば「新しいことを始めても受け入れてくれる」と朗さん。魅了されてきた小浜らしいさりげないもてなしで、移住を考える人や観光客を迎えたいと願う。
 料金はツインルーム9600円(3人1室1万円)。相部屋タイプ1人4千円(5月18日から宿泊可能)。島原半島割引や長期宿泊割引がある。ホームページ(https://www.moroyama-shukusha.com/)。

改修前の古民家(諸山さん提供)

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