756年に始まった伝統、金色の仏面の舞は地元の誇り 福井市の糸崎寺「糸崎の仏舞」【若越画報】

厳かな雰囲気の中、舞台へ向かう金色の面をつけた舞人

 ドン、ドンと力強い太鼓と鉦(かね)の音が境内に響き渡る中、金色の仏面に法衣姿の8人が輪になって舞う。国の重要無形民俗文化財「糸崎の仏舞」は4月18日、福井県福井市糸崎町の糸崎寺で奉納された。舞人のゆったりとした独特の身ぶりに多くの観衆がじっと見入り、受け継いできた歴史に思いをはせた。

 756年に始まったとされる伝統行事で、隔年4月18日に行われる。舞人は同寺観音堂近くの清水を産湯に使った男性に限定。雅楽を奏でる楽人や女性による「ご詠歌」も住民や同区ゆかりの人たちが担い、集落が一体となって取り組む。

 黒色の法衣に金色の仏面をつけた成人の舞人は、天冠をかぶり手に何も持たない「手仏」、宝冠をかぶり太鼓とばちを握る「打鼓(だご)仏」、同じく宝冠にばちを握る「撥(はし)仏」がいる。舞人には子どもたちが担う「念菩薩(ぼさつ)」「角守り」を経験した人も多い。親子や3世代で参加し、地元住民が誇りを持って受け継いでいる。

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