住井すゑさん草稿展示 茨城・牛久 随筆集ゆかりの品も

住井すゑさんゆかりの品を展示した特別展=牛久市城中町

大河小説「橋のない川」で知られる作家、住井すゑさん(1902~97年)作品ゆかりの所蔵品や草稿の特別展「牛久沼のほとりに遺(のこ)されていたモノ」が、茨城県牛久市城中町の住井すゑ文学館で開かれている。5月21日までを前期、同30日から7月2日までを後期に分け、作家の生活を紹介する。

同展は1979年に雑誌「暮しの手帖」に連載が始まり、後に単行本になった随筆集「牛久沼のほとり」を取り上げた。市と東海大の共同調査で見つかった遺品の中から、随筆に登場する物や草稿などを展示している。

「コインたちよ」という作品には、硬貨を詰めた箱の重みに「心が弾む」と浮き立つ気持ちがつづられている。住井さんが国内外から集め、小箱や封筒に大切にしまっていた硬貨が見つかり、今回初公開された。

随筆集の草稿も初めて展示。読点を足したり文字を塗りつぶしたりした跡が残っている。文章を大幅に削った箇所では、原稿用紙が切り貼りされ、作品を完成させていく様子がうかがえる。

市文化芸術課の飛鳥川みつきさんは「原稿用紙が切り貼りされた様子から執筆の履歴が追える。作家が格闘した跡もよく分かる」と説明する。

午前9時~午後4時半(最終入館は同4時)。月曜休館。問い合わせは市文化芸術課(電)029(874)3121。

住井さん愛用の文具や原稿用紙が置かれた書斎=牛久市城中町

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