「メジャーリーグの球団オーナーに」夢を語り“名門”ヤンキースで実現!南壮一郎氏の“有言実行力”

名門ヤンキースが驚きの発表

米大リーグ・ヤンキースは19日、球団公式サイトでビッグニュースを発表しました。”Soichiro Minami becomes limited partner of Yankees”. 転職サイト「ビズリーチ」を運営するビジョナルの社長、南壮一郎さん(46)が、球団の限定的パートナー(部分オーナー)になったというのです。

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日本人の部分オーナーは、ヤンキース始まって以来初。南さんは今回の発表についてSNSで「本件はVisionalとは直接的には関係がありません。あくまでも私個人の活動の一環となります」と前置きし、メジャーリーグ球団のオーナーになるのは小さい頃からの夢だったと話しています。

ヤンキースタジアムのモニュメントの前に立つ南さん

「ビッグマウス」が五郎丸歩さんに語った夢

実は南さん、静岡放送のテレビ番組「五郎丸歩が学ぶ」に出演した際も、元ラグビー日本代表でプロラグビー静岡ブルーレヴズCRO・五郎丸歩さん(37)に対して、この夢について熱く語っていました。

五郎丸さん:楽天イーグルス創業メンバーなんですね。

南さん:カナダ時代、10歳頃ですが、地元にメジャーリーグのチームがあって、球団のオーナーになりたいという夢が生まれました。社会人になってから楽天イーグルスが設立されることを知り、三木谷氏に直談判して準備室に入れてもらいました。

五郎丸さん:しかし、スポーツに憧れるのであれば選手になりたいと思うのが普通の少年の発想だと思うんですけど。

南さん:そうですよね。しかし、10歳の時の素直な気づきがあって。『何か決めてる』とか、『決断する』とか、『チームをまとめる』とか。大集団を率いて決断をしていくポジションに子どもながらに憧れを持ちました。友だちと競ってベースボールカードを集めたんですけど、頭の中で大好きな選手たちでラインナップを決めて対戦させたりしていました。

さらに南さんは、夢を実現させるためには言葉にすることが欠かせないと五郎丸さんに力説していました。

「日本では無言実行、言わずして行動するっていうことが美しいとされてるし、スポーツ界でも一般的な考え方だと思うんですよね。でも有言実行が僕の描く一つのスタイルです。よく『ビッグマウス』とか言われるんですけども、せっかく目指したい夢、志があるんだったらそれを口にするべきだと思います。なぜなら、言ってしまったら、なおさら行動しなくちゃいけなくなります。自分にプレッシャーを与えることによって、より速い、より力強い行動力を自分から導き出そうとしているんです」

強烈なマイノリティーだったからこそ

SNSでも、南さんは少年時代の「気づき」について触れています。

「私が選手以上に興味を持っていたのが、Yankeesの球団オーナーでした。当時は、George Steinbrenner氏(Hal Steinbrenner氏の父)が指揮を執っていました。その存在感は圧倒的で、文字通り"The Boss"という名にふさわしい人物でした。そんな姿を見るにつけ、私の中で興味が選手からSteinbrenner氏に次第に移っていったのを覚えています。いつしか、他のMLB球団のオーナーも調べるようになり、憧れの存在となっていきました。両親によると、10歳の頃には、選手ではなく『MLB球団のオーナーになりたい!』と、自分の夢を口にしていたそうです」

友だちと一緒になってお気に入りのチームの選手の活躍に一喜一憂しながら、南さんはチームの成績を大きく左右するのはオーナーの意向や采配だということを見抜いていました。番組の中で南さんは幼少期に海外で生活した経験が自らの洞察力を鍛えたと話していました。

「カナダ時代、学校で唯一のアジア人だった僕は、強烈なマイノリティーでした。帰国後、中学校は磐田、その後引っ越して浜松の高校に通いました。親も、自分自身も日本人なんですが、考え方、価値観は生粋の日本人ではなかったので、日本でもマイノリティーだったんですよね。カナダでは英語ができなかったし、日本に帰ってきても日本語ができなかった。しかし、言葉ができない中でも、目で見て肌で感じて、耳で聞けるわけです。目の前の環境が何を求めてるのか、どういう課題があるのか。もっというと、何が評価されて、何が自分自身の成長につながるのかっていうのを、言葉ができないがゆえに、そしてマイノリティーがゆえに深く観察していたと思います」

憧れのスタジアムで思い伝える

ヤンキースの発表から数日後、南さんはヤンキースタジアムで記者会見に臨みました。部分オーナーが認められた理由を聞かれた南さんは「交渉のプロセスを通じて、過去に数々の日本人メジャーリーガーがヤンキース球団と築いてきた信頼関係、そして何よりも彼らの活躍、成果を通じてアメリカのファンの心をわしづかみにしてきた実績が、とても大事な土台としてあったと思います。同時に私の前職が日本のプロ野球球団の経営であり、私の野球に対する熱意や情熱というものが刺さったのではないかなと感じてます」と説明しています。

また、MLBの公式ページに掲載されたインタビュー記事で記者は「南氏は日本でのスポンサーシップをはじめ、自分の持つリソースをヤンキースの望むように活用することを希望している。彼はこの経験をメジャーリーグ球団の運営法を知るいい機会と捉えているようだ」と記しています。

まさに「有言実行」 親友、五郎丸さんがエール

2022年8月に静岡放送で放送された五郎丸さんとの対談で南さんはこう話していました。

五郎丸さん:何年後ですか、メジャーリーグのオーナーになるのは。

南さん:どうでしょうね(笑)。海外の場合はオーナーの形もいくつかあり、マイノリティーオーナー(小出資株主)みたいな形もあります。いずれにしても『可及的速やかに』なります!

実は南さん、この放送のあった年の4月には、メディアとスポーツに特化した投資助言会社の関係者とコンタクトを取っていました。その場でヤンキースの部分オーナーの権利がつい最近売りに出されていることを知らされ、すぐに交渉を始めたと前出のインタビュー記事内で明らかにしています。

今回の南さんの「有言実行」ぶりに五郎丸さんは「おめでとうございます。番組放送後に交友が深まり、メジャーリーグの”ビジネスの流儀”などについて聞いたことがありました。最近メジャーの試合を何度か見に行ってるよっていう話も聞きましたけれども、まさかこんなに早くオーナーになるとは思ってなかったですね。これからの南さんの学びをラグビー界に生かせればと期待しています」とエールを送っています。

新しいビジネス創出にも好奇心芽生える

南さんは今回の交渉プロセスの中で、世界中のスポーツやエンターテイメント分野の有識者と話し合い、グローバル単位での新しい潮流や仕組みを学んだといいます。「この経験を通じて、世界ともっとつながり、より大きなビジネスに関わっていきたいという好奇心が芽生えました」とも語る南さん。今回の「部分オーナー」就任をスタートに、世界をマーケットにスポーツやエンターテイメント分野の新しい事業の可能性を追求したいとさらに夢を広げています。

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