部員の頭にハンマー直撃、重傷 茨城県立高陸上部 昨年7月 防護ネット設置されず

茨城県庁=水戸市笠原町

茨城県立高で2022年7月、陸上部の練習中に投げられたハンマーが部員の頭に当たり、頭の骨を折る重傷事故が起きていたことが25日、分かった。事故を公表した消費者庁は、待機場所に防護ネットが設置されていなかったと指摘。県教委は事故後、防護ネットがある他校や陸上競技場で練習するよう県立の中高に通知した。

同庁によると、昨年7月1日、陸上部のハンマー投げ練習で、部員が投げたハンマーが、待機中の他の部員の頭に当たった。この部員は頭蓋骨骨折や脳挫傷、高次脳機能障害などの重傷を負ったという。

県教委によると、事故が起きた高校グラウンドには防護ネットがなく、ハンマー投げの練習時は、投てきする生徒が周囲に注意を呼びかける決まりだった。重傷を負った部員は約4カ月入院。現在は回復し、部活動に参加しているという。

同庁は4月13日、防護ネットが設置されていなかったことを重く見て、消費者安全法に基づく「重大事故」として同庁ホームページで公表。県教委は事故を公表しておらず、非公表の理由を「生徒や家族の人権、心情に配慮する必要があった」としている。

県教委は事故直後、県内の中高で防護ネットの設置状況を調査し、設備点検の徹底を促した。また、各市町村教委や県立高に向けて、防護ネット未設置場所で投てき練習を禁止するよう通知した。

県教委によると、県内中高で投てき種目を練習する陸上部は県立高38校、私立高11校、中学校4校。このうち、半数の学校では防護ネットを設置していなかった。県教委は「防護ネットを設置していたら防げていた事故。安全性への注意が足りなかった。再発防止に努めている」としている。

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