茨城県南7市町 高度浄水、2024年秋供給へ 国内初 霞ケ浦かび臭除去

霞ケ浦浄水場で整備が進む「高度浄水処理施設」=土浦市大岩田(県提供)

霞ケ浦浄水場(茨城県土浦市大岩田)に整備している県の「高度浄水処理施設」が2023年度、完成する見通しとなった。試験運転を経て、高度浄水された水道水が早ければ24年秋にも供給される見込み。オゾンと過酸化水素を使い、かび臭を除去する国内初の施設となる。これまでの活性炭を中心とした処理に比べ、年4億円超の削減が見込まれ、低コストで「おいしい水道水」の供給につながると期待されている。

霞ケ浦浄水場が供給しているのは土浦、つくば、龍ケ崎、取手、牛久、阿見、利根の県南7市町。計画給水人口は約39万人。

県企業局によると、水源の霞ケ浦は、かび臭の原因となる物質を多く含み、気温が上昇する春ごろから藻類の発生が増え、臭いが増す傾向にある。04年4月には水質基準にかび臭などの項目が追加されたことで、浄水場では活性炭の使用量が増えるなど、運転コストが大きな課題となっている。

新施設で行うのは「オゾン促進酸化処理」。オゾンに過酸化水素を加えることで臭気物質の酸化、分解を促し、かび臭を抑制する。同局によると、利根川(取手市)、水海道(常総市)の両浄水場で運用しているオゾン単独処理に比べ、臭気物質の分解能力は数百倍に高まるという。

新施設は24年3月に完成し、約6カ月の試験運転を経て、本格的に供用を始める見通し。

計画では、活性炭によるろ過処理も継続するが、事前に高度浄水処理を行うことで、活性炭の交換や再生処理が減るため、二酸化炭素(CO2)削減やコスト低減につながる。同局は、30年間で計約127億円のコスト削減効果を見込んでいる。

活性炭で処理した後、さらにかび臭の原因物質を除去する施設「後砂ろ過池」の整備にも着手する。使用する活性炭の長寿命化が図られ、さらなるコスト削減につながるとみている。

県は新施設とともに、原水に含まれ、有害物質の元になる有機物質を除去する「イオン交換樹脂処理」施設も整備する方針を示している。今後、運転費用の抑制策を検討した上で整備を進めたい考え。

同局担当者は「オゾンと過酸化水素による処理を先行して行い、将来的にイオン交換樹脂も活用した二段構えの浄水としたい」と説明している。

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