対馬市長、観光や自然環境に懸念 核のごみ最終処分場の選定巡り

 原発から出る高レベル放射性廃棄物(核のごみ)の最終処分場選定を巡る動きがあることに関し、長崎県対馬市の比田勝尚喜市長は25日の定例記者会見で「対馬の未来を考える議論はいいことだ」とした上で、観光客誘致や自然環境などへの影響に懸念を示した。
 同市では、市商工会が処分場選定の第1段階となる文献調査の応募検討を求める請願を市議会に提出するかどうか、5月の会合で決める方針を示している。
 見解を問われた比田勝市長は「商工会での結果がどうなるかわからない中、私自身の考えを述べるのは、分断を生む原因になるため申し上げられない」と賛否についての明言を避けた。一方で「自然や生態系が豊かな対馬に処分場ができれば、それだけで風評被害が起こる。(核のごみを島に)運び込むまでに事故があれば余計被害が出る。やっと増えてきている(国内外の)観光客数が落ち込む可能性もある。慎重な判断をしていかざるを得ない」と述べた。
 同市では以前、処分場誘致に向けた動きが表面化し、市議会が2007年に誘致反対を決議している。

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