トム・コロネルが2023年仕様アウディを披露。今季からブラック&レッドに一新/TCRヨーロッパ

 今季2023年もコムトゥユー・レーシングのエースとしてTCRヨーロッパ・シリーズに参戦する大ベテランのトム・コロネルが、新年度に向けたアウディRS3 LMS 2の新リバリーを公開。長年のスポンサーであったDHLが契約期間を満了し、代わって作業用ウエアブランドの『Tricorp』がタイトルスポンサーに就任。おなじみイエローからブラック&レッドの新鮮なスキームにチェンジした。

「このオフの期間、長い間の待ち時間も非常にエキサイティングだったが、こうしてふたたびすべてがうまくいったことをとてもうれしく思っている」と、新シーズンへの期待を語ったコロネル。

「これは予想外ではなく、長年の友人でもあるDHLは戦略の変更によりサポートが終了することを早い段階で示してくれていた。 過去数年にわたってDHLから受けたサポートに非常に感謝している。本当に素晴らしいパートナーシップだったよ」

「もはやイエローのクルマに乗ることはないと思うと、慣れるのに少し時間が掛かるとは思うが、このトライコープとアウディスポーツの双方を表すブラックとレッドも非常に見栄えが良いと思っているんだ」

 昨季2022年のコロネルは、カレンダーバッティングによりドイツのノリスリンク市街地戦を欠場したにも関わらず、ランキング総合2位を獲得。今季も同じくアウディのステアリングを握り、同じチームからフル参戦して悲願成就を狙う。

「昨年の結果を見て考えても、ほぼすべての要因が変わっていない。つまりそれ(タイトル獲得)は間違いなく達成可能であるはずさ!」と続けたコロネル。

「それに、シーズン終盤のTCRワールドファイナルに出場できればうれしいね。そのためにもTCRワールド・ランキングで充分なポイントを獲得する必要があるし、すべての結果が重要になる。でも何より、今年もこうしてグリッドに戻ることができてうれしいよ。モータースポーツでのキャリアも34年目を迎えた。それはまさに、僕のカーナンバーでもある。今シーズンも心から楽しみだ!」

 そのTCRヨーロッパは、フランスのポー市街地で開催する第2戦の暫定タイムスケジュールを発表し、5月12~14日の会期中、シリーズ史上初のナイトレースとして土曜夜の現地時間21時半を回ってTCRの最初のヒートを実施する意向を明らかにした。

長年のスポンサーであったDHLが契約期間を満了し、代わって作業用ウエアブランドの『Tricorp』がタイトルスポンサーに就任。おなじみイエローからブラック&レッドの新鮮なスキームにチェンジした
「もはやイエローのクルマに乗ることはないと思うと、慣れるのに少し時間が掛かるとは思うが、このTricorpとAudi Sportの双方を表すブラックとレッドも非常に見栄えが良いと思っているんだ」とトム・コロネル
今季も同じくアウディのステアリングを握り、同じチームからフル参戦して悲願成就を狙う

■シングルシーターからツーリングカー転向の19歳は「まずはルーキートロフィーの頂点を目指したい」

 また年間エントリーにも新たな顔ぶれが登場し、これまでTCR UKに参戦していたルイス・ブラウンがボルケーノ・モータースポーツとジョイント。同じくイギリス出身のアイザック・スミスとチームを組み、アウディの2台体制を敷くことに。さらにフォーミュラ・ノルディックで年間2位を記録した19歳のヴィクトル・アンダーソンも、TCRへのスイッチを表明している。

「当初、僕の2023年の計画はTCR UKでレースをすることだったが、TCRヨーロッパでボルケーノ・モータースポーツに加入するチャンスが生じたとき、それを断ることはできなかったね」と語ったブラウン。

「アイザック・スミスがチームにいたことは、僕の決断に大きく役立った。他のチャンピオンシップで彼と対戦したことから、彼が速いドライバーであることは知っている。一緒にアウディRS3 LMSを走らせ、グリッド上位を狙うことができるはずさ」と、かつてはミニ・チャレンジUKでライバル関係だったスミスとの共闘を誓う。

 一方、地元を離れて北米武者修行を続けていたアンダーソンは、USF2000シリーズにステップアップした昨季はシーズン途中での活動休止を強いられており、このオフから本格的なツーリングカー転向を模索してきた。

 その名前が示すとおり、アンダーソンは父親のマティアスが所有するMA:GPのリンク&コー03 TCRを活用し、ヨーロッパへの参戦を決意。同ブランドがTCRヨーロッパに参戦するのはこれが初となり、トップカスタマーのシアン・レーシングもTCRワールドツアー登録で序盤の3戦にエントリーする。

「シングルシーターからツーリングカーへの移行は、僕にとって非常に興味深いスイッチになるだろう。でも、僕はそれを受け入れる準備ができている。これまでに行ったテストを受け、僕はこのリンク&コー03 TCRに深く感銘を受けた。今からレースが待ち切れないよ」と、父がSTCCスカンジナビアン・ツーリングカー選手権でドライブしてきた機材を引き継いだアンダーソン。

「このオフのテストは勇気づけられる結果だったけど、とくにシーズン前半戦はTCRワールドツアーの一行も参戦してくる。非常に厳しいフィールドに直面することになるだろうし、期待値は控えめさ(笑)。一歩一歩、まずはルーキートロフィーの頂点を目指したいね」

昨季はWTCR世界ツーリングカー・カップを開催していたフランス・ポー市街地サーキット
スペインを拠点とするVolcano Motorsportは、ルイス・ブラウンとアイザック・スミスのイングリッシュ・ペアで挑む
父マティアスがSTCCでドライブしていたLynk&Co 03 TCRを活用し、ヨーロッパへの参戦を決意した息子のヴィクトル

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