NHK朝ドラ撮影で重要文化財の本堂破損、住職「撮影続けて」 滋賀の古刹・百済寺

陥没した本堂の回廊(滋賀県東近江市百済寺町・百済寺)

 NHK大阪放送局は26日、湖東三山の一つ、百済寺(滋賀県東近江市百済寺町)でドラマの撮影中に、国の重要文化財に指定されている本堂を破損したと発表した。NHKは「貴重な文化財を破損したことを深くおわびする。関係機関の指導に従い、修復などに適切に対応する」としている。

 同局などによると、本堂では次期連続テレビ小説「ブギウギ」の撮影を進めていた。25日午後3時過ぎ、本堂の濡(ぬ)れ縁で出演者約10人がダンスシーンのリハーサルを始めたところ、床板を支える木材が折れた。約5メートルにわたって、長さ1.6メートルの床板が20枚ほど外れ、最大20センチほど落ち込んだが、けが人はなかった。

 濡れ縁は観光客も立ち入れる場所で、ダンスは特に激しい動きではなく、部材の老朽化も一因と考えられるという。滋賀県は東近江市から連絡を受け、文化庁に報告。修繕方法は今後、国や県、同寺が検討する。

 同寺の本堂は江戸時代前期の1650年ごろの建立とされ、2004年に重要文化財に指定された。濱中亮成住職(50)は「観光寺院なので、観光活用と保全のバランスを適切に取る必要がある。起こったことは残念だが、今後も撮影を続けてほしい」と話した。

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