抜け道となり通学路が危険...児童の安全願い、足利の事業所が敷地内に歩道整備

明治機械足利事業所が整備した歩道で登校する児童

 抜け道となっている危険な通学路の安全を確保しようと、栃木県足利市鹿島町の明治機械足利事業所は新学期に合わせ、市道沿いの敷地の一部を歩道として整備した。延長60メートル、幅1.2メートルで、開通後は山前小の児童らが登下校時に利用している。保護者は「安心した。大変ありがたい」と感謝している。

 歩道ができたのは、県道桐生岩舟線につながる市道に面した敷地。近年、朝晩の渋滞を避けるためにこの市道に進入する車が増加。幅4メートルと狭く、小中学生の登校と通勤時間が重なり、危険な状態だったという。

 製粉・飼料機器製造の同社(東京都千代田区)は、足利に事業所を開設してから今年で80周年を迎える。数年前に事務所棟の建て替え用地として、隣接する民有地を取得した。昨年建て替えに着工した際、「地元が困っているので貢献しよう」と、その一部を私設の歩道として地域に開放することにした。

 もともとあったブロック塀を撤去して、歩道部分を確保。市道との境界には車止めのポールを設置し、歩道の路面は緑色にカラー塗装した。整備費は全額、同社が負担した。

 同社管理部の竹内博之(たけうちひろゆき)次長(68)は「地元への恩返しになればうれしい。未来永劫(えいごう)、事故のない通学路であってほしい」と願っている。

 13日の開通後、この歩道を通学路として利用している山前小1年男児(6)の母親石原美穂子(いしはらみほこ)さん(29)は「ここは車通りが激しい。歩道ができて安心です」と安堵(あんど)の表情を浮かべた。同校の神林孝文(かんばやしたかふみ)校長は「安全に通行できる歩道を造ってくれてありがたい」と喜んでいた。

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