茨城県警 全高齢者を巡回 6月から 53万世帯 ニセ電話詐欺、事故を防止

茨城県警察本部=水戸市笠原町

高齢者の安全対策を図ろうと、茨城県警は6月1日から、高齢者のいる世帯を訪れる「巡回連絡」を推進する。65歳以上が居住する全世帯を1年間で一巡するのが目標。26日の定例会見で発表した。一瀬圭一本部長肝いりのプロジェクトで「地域警察官は戸別の家庭と信頼関係を確立し、お助けするのが本来業務。警察官が直接働きかけてご自身や家族に対策を取ってもらう」と意義を強調した。

2020年国勢調査によると、対象となるのは53万311世帯。巡回は各署の地域警察官が中心となり、1500人体制で当たる。安全対策として▽留守番電話設定▽夜光反射材の貼り付け▽住宅侵入窃盗の手口▽災害時の早期避難-などを啓発するチラシを配りながら、1軒ずつ時間をかけて説明する。

中でもニセ電話詐欺対策は喫緊の課題だ。薗部修地域部長は「場合によっては地域警察官が直接留守電設定をする活動もしていきたい」と語った。

新施策の背景には一瀬氏の成功体験がある。山形県警本部長時代に「県民のディフェンス力向上」を掲げて同様の施策を進め、一定の効果を上げた。茨城県との共通点に留守電設定や施錠、安全運転がそれぞれ徹底されていない点を指摘。さらに一戸建て住宅が多く、「巡回連絡に非常に適している」と結論付けた。

ニセ電話詐欺や夜間交通事故の防止策は既にあり、実行する人をいかに増やすかが肝要となる。一瀬氏は「人間の本質を考えると、自分が信頼する人から客観的なデータを示してもらい、実行できることを教えてもらえれば約束を守ろうとする」とみている。

県警地域課によると、多岐にわたる注意喚起をするため、担当警察官には「いかに説明できるかの話術、理解度が大事になる」という。5月中は同課を中心に、応接や教養の指導を行い、説明の基になるチラシの準備を進める。

1年間で一巡するには、担当警察官1人当たり約353軒の訪問が割り当てられる。ただ同課は「ノルマとしては捉えず、1軒ずつ防犯対策をするかに重きを置きたい」と説明した。

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