GWの旅行予約は好調も…宿泊業界はコロナ禍で減った人員確保に不安 福井県の旅館「客室稼働率落とすケースも」

昨年のゴールデンウイークに、観光客でにぎわった東尋坊。今年の県内旅行会社の予約状況はコロナ禍前の水準にほぼ戻っている=2022年5月3日、福井県坂井市三国町

 最長9連休のゴールデンウイークが4月29日から始まる。昨年に続いて新型コロナウイルス対策の行動制限がなく、福井県内旅行会社の予約状況は好調で、「コロナ禍前の水準にほぼ戻っている」と期待の声が上がる。一方、宿泊業界は人材確保が需要の急回復に追い付いていない側面もあるようだ。

 「(旅行予約は)コロナ禍前の80~90%の印象」と話すのは、県旅行業協会の高井良民雄会長。県内ではあわら温泉、県外は北海道や沖縄が人気とし、「ホテルに空きがなく、なかなか予約を受け付けられない」とも。宿泊施設の人手不足がボトルネックと指摘し、「自分でネット検索して見つからないからか、初めて来店する個人客が今年は多い」と語る。

 あわら温泉は、政府の全国旅行支援事業の効果もあり、今年に入って客足は順調に回復している。連休中は旅行支援が適用されないものの、旅館協同組合加盟15施設のまとめ(20日時点)では、5月3、4日はほぼ満室。5日も残りわずかの所がほとんどとなっている。

⇒全国旅行支援、5月8日以降はコロナワクチン接種証明の提示不要

 あわら市観光協会の前田健二会長(旅館「美松」社長)は、アルバイト確保を懸念材料に挙げる。「コロナ禍で減らした人員の代わりが見つからず、客室稼働率を落とすというケースもあるだろう」と話す。

 レンタカー業界は、北陸新幹線県内開業を見据え、コロナ禍の中でも台数を維持していたのが奏功しているという。県レンタカー協会によると、県立恐竜博物館(勝山市)の休館による落ち込みを加味しても、鉄道駅周辺の店舗では「前年比2割増ぐらいで推移する」(西出厚一専務理事)との見通しを示す。

 トヨタレンタリース福井の担当者は、「昨年度はコロナ禍前の売り上げを既に超えており、今年はさらに期待できる」とし、コロナ禍で落ち込んだワゴン車の予約も今年はほぼ埋まっていると説明する。コンパクトカーは天候を見極めて直前まで予約の動きが鈍いため、まだ余裕があるとしている。

© 株式会社福井新聞社