ルノー躍進。王者ペーニャがポール・トゥ・ウイン、新鋭モンテネグロはキャリア2勝目/TC2000第3戦

 アルゼンチン最高峰のツーリングカー選手権、新生TC2000(旧スーパーTC2000)の2023年シーズン第3戦が4月21~23日にコルドバのオスカー・カバレンで開催され、ルノー陣営のアクシオン・エナジー・スポーツTC2000がほぼ“パーフェクト”な戦績を残して週末を席巻。予選では昨季にも自らの最年長王者記録を更新したリオネル・ペーニャ(ルノー・フルーエンスGT)がポールポジションを獲得し、日曜のレース2も制覇。その僚友として“帝王学”を受け継ぐ18歳の新鋭イグナシオ・モンテネグロ(ルノー・フルーエンスGT)も、シリーズ2勝目を飾っている。

 イベント会期を前に隣国ブラジルが誇るトップカテゴリー、SCBストックカー・ブラジル“プロ・シリーズ”との「南米相互交流」の復活を高らかに宣言したTC2000は、ホンダ陣営が席巻した全長4.662kmのテンプル・オブ・スピードでの1戦を経て、同国第2の都市にあるシリーズおなじみのトラックに戻ってきた。

 その最初の公式練習から好調さを披露したのがルノー・フルーエンスGTをドライブする47歳のチャンピオンで、前戦勝者ファクンド・アルドゥソ(ホンダ・シビックTC2000)やフランコ・ヴィヴィアン(シボレーYPFクルーズ)を従え、FP1で首位タイムを記録していく。

 チーム内の大先輩がホンダ陣営のYPFホンダRVレーシングと、シボレー陣営のYPFエライオン・オーロ・プロ・レーシングと、いずれのエース格をも退ける姿を見て、続くFP2ではモンテネグロが首位を奪取。2番手に今季移籍組のベルナルド・ラヴァー(ホンダ・シビックTC2000)を挟みペーニャが3番手とし、ルノー陣営の新旧エースが躍動する展開となった。

 続いて土曜午後に実施されたFP3は「選手権ランキング6位以下」のドライバーのみ出走する権利が与えられるセッションとなり、TOYOTA GAZOO Racing teamのジュリアン・サンテロ(トヨタ・カローラTC2000)が気を吐き、トップタイムを奪ってみせる。しかしその背後には、ファクンド・マルケス、マリアーノ・ペーニャと2台のルノーが続き、午後15時からの予選を暗示する結果となる。

イベント会期を前に、隣国ブラジルが誇るSCBストックカー・ブラジル”Pro Series”との「南米相互交流」の復活が高らかに宣言された
前戦勝者ファクンド・アルドゥソ(ホンダ・シビックTC2000)擁するYPF Honda RV Racingは勢いを持ち越せず
予選では昨季にも自らの最年長王者記録を更新したリオネル・ペーニャ(ルノー・フルーエンスGT)がポールポジションを獲得する

■モンテネグロが7番手グリッドからの逆襲を決めキャリア2勝目

 そんなチャンピオンチームにとって唯一の懸念材料となったのが天候で、トラックの状態とタイヤの温度、ライバルのミスによる赤旗の掲示で、タイトな状況のなか目まぐるしく戦況が入れ替わる難しいセッションと化したにもかかわらず、最高の戦略を適用したペーニャが最後のアタックで一閃。ヴィヴィアンのシボレーと後輩モンテネグロを抑え、キャリア通算24回目の最前列を手にした。

 明けた日曜午前9時50分に開始された25分+1周の決勝は、予選4番手タイムを記録していたロドリゴ・アラメンディア(シボレーYPFクルーズ)が“ポール・ドロー”で先頭からスタートを切ったが、序盤の段階で早くも後続に飲み込まれる展開に。

 代わってリードを引き継いだファクンド・アルドリゲッティ(トヨタ・カローラTC2000)が終盤まで粘りを見せたものの、背後からの重圧によりブレーキを失って万事休す。その横をすり抜けていったモンテネグロが7番手グリッドからの逆襲を決め、昨季の初優勝に続くシリーズ2勝目を獲得。2位にも9番手発進だった王者ペーニャが続き、最終的にアクシオン・エナジー・スポーツTC2000がワン・ツーを飾る完璧なリザルトとなった。

 その勢いを維持してレース2に臨んだルノー陣営は、チャンピオンがまさに盤石のドライブを見せ、サンテロのカローラとモンテネグロに背中を見せつけたペーニャがキャリア通算28勝目、コルドバのトラックで3回目のトップチェッカー。

 この結果、ペーニャとモンテネグロのふたりがスタンディングでも抜け出し、サンテロ、ヴィヴィアン、そしてアルドゥソが続く展開へと変わっている。

レース1で先頭スタートを切ったロドリゴ・アラメンディア(シボレーYPFクルーズ)や、ファクンド・アルドリゲッティ(トヨタ・カローラTC2000)も勝利には届かず
7番手グリッドからの逆襲を決めたイグナシオ・モンテネグロ(ルノー・フルーエンスGT)がシリーズ2勝目を飾った
レース2はサンテロのカローラとモンテネグロに背中を見せつけたペーニャがキャリア通算28勝目を手にしている

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