コロナ5類移行後 受け入れ機関、全体720に 長崎県医療体制の維持・拡大図る

感染対策の見直しや医療体制の変更点について話す大石知事=県庁

 長崎県は28日、新型コロナウイルスの感染症法上の位置付けが5月8日から「5類」に引き下げられることに伴う医療体制などの変更点について公表した。感染が疑われる発熱患者の外来受け入れ機関は現在の624から約720に増加。入院医療については県が要請する確保病床は段階的に縮小し、通常医療体制での受け入れに移行する。
 5類移行による感染対策緩和で流行第9波の懸念もある中、県は医療提供体制の維持・拡大を図る。一般的な発熱に対応する内科や小児科などは県内に約820あるという。こうしたことから5月8日時点で約720ある外来対応医療機関をさらに増やしたい考えだ。
 発熱などの症状が出た場合の5類移行後の手順について、県は「症状が軽い場合は自宅療養。それ以外はかかりつけ医か近くの医療機関に電話で相談して受診の可否を確認してほしい」としている。9月末までは24時間対応の県受診・相談センター(電0120.071.126)を維持する。
 流行第8波のピーク時(1月9日)の入院者は1335人に上るなど感染拡大のたびに病床確保が課題となってきた。県は5類移行後の入院医療について、段階的に確保病床を減らし、10月からは病床があるすべての医療機関での受け入れを目指す。
 5月8日~6月末を第1段階、7月~9月末を第2段階に設定。第1段階では入院受け入れが可能な病床の目標数を2260床(確保病床462、それ以外1798)とし、第2段階ではさらに確保病床を減らす。入院調整はこれまで主に保健所が担ってきたが、移行後は医療機関同士で行うことになる。
 感染対策は法律に基づいて行政が要請してきたが、5類移行後は個人や事業者の判断に委ねられる。会見した大石賢吾知事はこれまでのコロナ政策について「外出制限や営業時間の短縮など県民には大きな負担をかけてきた。特に子どもたちには一斉休校や行事の中止など社会を守るために過度な負担をかけて心苦しかった」と振り返った。対策について「個人の意思に反して強いることがないようにお願いする」と強調した。

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