グーグルマップで「サル予報」!? 400頭以上いる福井県高浜町が位置配信、農作物被害防ぐ効果は

サルの群れの位置情報や移動経路を色分けして表示したマップ

 農作物のサル被害抑止のため、福井県高浜町が野生サルの位置情報を農家などに配信する「たかはまサル予報」が効果を上げている。サルに発信器を取り付け、受信機でその日の群れの位置情報を把握。住民にサルの移動経路をまとめたマップと注意喚起のメールを送ることで、サルの追い払いや捕獲に役立っている。

 サルの農作物被害に悩まされていた同町では、2017年に町の委託を受けた合同会社「エムアンドエヌ」(和田)がサルに発信器を取り付け行動範囲を探る「テレメトリー調査」を開始。町と同社によると、今年3月末時点で14群(約400頭)以上のサルの群れが確認されているという。

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 調査結果を基に18年から始めたサル予報は、1日に1回同社の社員が受信機を搭載した車で町内を周回しサルの位置情報を確認。群れの行動範囲や過去の移動経路に情報を加えてグーグルマップ上にまとめ、町内農家や有害鳥獣を捕獲する実施隊員ら約40人にメールを送信している。同社の松宮史和代表(39)は「長年の調査でサルがどのように行動するのか予測できるようになってきた」と話す。

 14年度に29件あったサル被害は、サル予報の開始以降は数件程度に収まり、着実に効果が現れている。

 サル予報を見た町民がサルを目視できなくても花火や爆竹を使ったり、おりの設置場所を変更し捕獲率が向上したりするなど被害減につながっているという。高野区で農業を営む79歳男性は「マップを見ればサルがどのように移動しているのか分かりありがたい」と話す。

 町民から同社にサルの目撃情報が寄せられることもあり「地域でサル対策への関心がだんだん高まってきている」と松宮代表。近年は被害件数がやや増加傾向にあるものの、町産業振興課の担当者は「今後も被害が少しでも減るよう官民連携で進めていきたい」としている。

 メールサービスは登録制で無料。問い合わせは同課=電話0770-72-7705。

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