繁華街、にぎわい戻るも…運転手足りぬ 悩む代行業 茨城

客足が戻り始めた水戸市の繁華街=同市大工町

新型コロナウイルスの5類移行を控え、茨城県内の繁華街ににぎわいが戻る中、乗客とマイカーを自宅などへ送り届ける運転代行業者が人手不足に苦しんでいる。コロナ禍で廃業に追い込まれた事業者もあったが、2023年3月以降は歓送迎会シーズンも重なり、需要は回復基調。週末は1時間以上待たねばならないケースも目立ち始めた。

県警交通総務課によると、県内の運転代行は2022年末現在で332業者が営業し、従事者は3200人。コロナ前の19年比で27業者減、従事者は同439人減った。中でも、随伴用自動車は3年間で400台以上減少し1029台となった。

水戸市内で営業する代行業者によると、コロナ禍で最も苦しんだ時期は緊急事態宣言が発出された20年4月。当時は、普段なら繁華街がにぎわう金曜日の夜にもかかわらず、配車依頼の入電が9件にとどまった日があったという。

コロナ禍前は運転手24人、アルバイトも9人在籍していたが、コロナの感染拡大で状況は一変。10台前後稼働させていた代行車両は1~2台と激減し、アルバイトはシフトから外さざるを得なくなった。

同じ金曜日だった今月14日、この業者への入電は251件に上った。同日は忙しくなると見込んで9台体制で臨んだが、予想を超える繁盛ぶりに依頼の半数以上は断らざるを得なかったという。代表の男性は「昔は入電が1日650件の日もあった。コロナ前の水準に戻ったとはいえないが、持ち直してきているのでは」と需要の回復を実感している。

同市内の別の代行業者では、3年ぶりに復帰したという40代男性が「副業収入を当てにしていたので、仕事がなくなったときは本当につらかった」と振り返る。男性は3月に復帰し、以前と同程度の収入が得られるようになったという。

運転代行の需要持ち直しは、北関東屈指の歓楽街がある土浦市でも同じだ。

同市を拠点とするクリーン運転総合代行(同市大岩田)では最近、混雑時間帯になると入電から到着まで1時間以上かかることが珍しくなくなった。

県運転代行協会理事長で同社の中山一夫社長(68)は業界全体の人手不足に懸念を示しながらも、「運転手に応募する電話は以前よりかかってくるようになった。『もう一度働こう』という人に戻ってきてほしい」と期待を寄せた。

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