復興応援、自転車の旅 茨城・鹿島神宮出発 青森・八戸へ800キロ

自転車旅へ向け鹿島神宮を出発する「ツール・ド・東日本」の参加者たち=鹿嶋市宮中

東日本大震災の被災地復興を応援しようと、茨城県鹿嶋市から青森県八戸市まで約800キロを自転車で走破する「ツール・ド・東日本 鹿嶋to八戸」(鹿八)が30日始まった。雨が降りしきる中、参加者は鹿島神宮の大鳥居(おおとりい)前から力強くペダルを踏み出し、1週間の旅へ〝鹿島立ち〟。被災地の現状を肌で感じながら震災の風化防止につなげていく。

鹿八は2014年に始まり、今年で10回目。鹿嶋から主に太平洋沿岸のルートを北上し、ゴールの八戸・蕪嶋神社を目指す。主催した同実行委員会によると、今年は福島や宮城、岩手などを巡る例年に加えて、前日に東京・両国-鹿嶋のコースを加えた。全体で約80人が参加する予定という。

東京-鹿嶋間を走破した、鹿嶋市地域おこし協力隊の大沢智枝さん(46)は「車で見ていた景色も自転車からだと違って見えた。しんどいと思っていたが、ゴールが近づくにつれ元気が湧いてきて楽しかった」と語った。

この日は16人の参加者が同神宮に集結し、午前9時過ぎ、道中の安全を祈願。田口伸一市長が駆け付け、「被災地の方を励ますために企画され、目的が達成できるようご祈念申し上げる」とエールを送った。

初日は北浦を北上し、大洗町、東海村などを経由して日立市へ至る104キロを走破する。2日目以降も被災地を巡り、街中の道路も通りながら震災後の変化を感じ取る。飲食や宿泊を通じて、被災地の復興を支援したい考えだ。

4回目の参加という、ひたちなか市の上野圭子さん(56)は「前回走れなかった所が走れたり、同じ道でも違う景色が見られたりするのがうれしい。訪れた土地のグルメを味わうのが楽しみ」と笑顔を見せた。実行委の岡田繁委員長(62)は「震災から12年がたつ中、風化させないように続けていく。来年へ向け無事故でゴールしたい」と話した。

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