茨城・鹿嶋の鹿野さん歴史本 中世の鹿行研究40年 城跡や古文書調査

鹿行地域の中世についてまとめた「鹿島城ものがたり」を自費出版した鹿野貞一さん

茨城県鹿嶋市文化財保護審議会長を務める鹿野貞一さん(74)=同市宮中=が鹿行地域の中世(鎌倉、室町、戦国時代)についてをまとめた「鹿島城ものがたり」を自費出版した。約40年にわたり研究・考察を重ねた成果で、「鹿島氏が約400年もの長い間、存続しえた理由を多くの人に知ってほしい」と話している。

執筆に当たっては、鹿島氏や、ゆかりの城跡などを丹念に訪問。古文書や石碑、歴史書などを読み解き、調査を続けてきた。約3年前に書き始め、3月末に完成。A5判サイズ、224ページで、自ら撮影した写真や地図、イラストをふんだんに使い、読みやすい工夫を心がけた。

「ものがたり」は鹿島地域の位置付けや鹿島氏誕生から始まり、鹿島神宮との関わり、鹿行地域の城、合戦の様子などについて詳細に書かれている。家臣にも焦点を当て、仏教が伝播(でんぱ)していく過程や、庶民の暮らしぶりにも触れている。

さらに、「剣聖」と称された塚原卜伝についても紹介。妻たえに先立たれたが、死後すぐに寺に夫婦連名で田を寄進していることや、墓に一緒に葬られていること、位牌(いはい)も両名が並んで記されている点などを指摘し、「愛妻家だった」としている。

最後は「鹿島氏の内紛」「鹿島落城」の項目が続き、佐竹氏に滅ぼされるまでの流れをつづり、逃げ延びた家臣たちのその後も追い、締めくくった。

1冊2200円(税込み)。市内のオカミ書店などで購入できる。問い合わせは鹿野さん(電)080(7647)2210。

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