3年前(2020年)、静岡県吉田町の工場で消防隊員ら7人が死傷した火災について、警察は爆発的な火災の原因は洗剤に含まれる過炭酸ナトリウムから発生した大量の酸素とみていることが捜査関係者への取材で分かりました。
爆発的な燃焼によって消防隊員ら7人が死傷した吉田町川尻のレック静岡第2工場の火災をめぐっては、2023年4月28日、警察が、生産する洗剤の管理を怠ったなどとして当時の工場の責任者2人を書類送検しました。
この爆発的な火災の原因について警察は、洗剤に含まれる過炭酸ナトリウムから発生した大量の酸素が工場内に充満したことで起きたとみていることが、捜査関係者への取材で分かりました。警察などは過炭酸ナトリウムを使った実験も行い、室内に酸素が充満することを確認したということです。
SBSでは2月、専門家の協力を得て過炭酸ナトリウムの特性を検証しました。警察は過炭酸ナトリウムが何らかの原因で水と混じり化学反応を起こしたとみていることから水との反応を実験。過炭酸ナトリウムから発生した気体を瓶の中に集め、そこに火のついた線香を入れてみると…。
<和田啓記者>
「あーすごい、激しく燃え上がりました」
<静岡大学分析化学研究室 栗原誠教授>
「明らかに違いが見えると思います。酸素が多くあると激しく燃える」
炎を激しく燃え上がらせたのは酸素。過炭酸ナトリウムが水と混ざると酸素が発生し、確かに燃焼を助長しました。警察はこの現象に加えて、火災の熱による化学反応がさらに燃焼を大きくしたとみています。
一方、レックが設置した事故調査委員会は、爆発的な火災は防火シャッターの開放により新鮮な空気が流入したことで起きた可能性が高いと、警察とは異なる原因を指摘しました。2023年2月のSBSの取材に対しても…。
<レック 貝方士利浩専務>
「元々閉まることが防火シャッターの務めですからそれは人為的に開けるしかないっていうことになるんですけど、ここになるとですね、まさしく誰が開けたんだって話になってしまいますので、なかなか言及しづらいところだと思う」
レックは4月29日、静岡市内で記者会見を開き、警察の書類送検は不当として「社員が起訴された場合は裁判で全面的に争う」とまで訴えました。レックは「防火シャッターの閉鎖をもって管理責任者の責務は果たした」と主張。
警察は「工場内の防火シャッターは爆発時には閉まっていて、空気が入る余地はない」とレック側の見解を否定し、ここでも両者の考えは分かれています。